- 原則として、入札には各発注機関の求める入札参加資格の取得が必要
- 全省庁統一資格など、一つの資格で複数の機関の案件に入札できるケースもある
- 有効期限は2年、または3年と発注機関によって異なるため注意
- 気になる案件が公示されている発注機関の入札参加資格はあらかじめ取得しておこう
「官公庁の案件は、大手企業が受注するもの」
公共入札について、このようなイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし実際には、法律の後押しのもと、中小企業や個人事業主が官公庁の案件を受注する機会は増加しており、これまで公共入札に参加していなかった企業にも大きなチャンスがあります。
とはいえ、公共入札はどのような企業・個人事業主でも参加できるわけではなく、事前に入札参加資格を取得する必要があります。この資格は、取得自体は難しくないものの、種類や等級など、初めての方だと分かりにくい部分も少なくありません。
そこで本コラムでは、入札参加資格の基本と申請方法について詳しく解説していきます。
もくじ
押さえておきたい、入札参加資格の基本
前述した通り、企業が公共入札に参加するためには、必ず入札参加資格を取得する必要があります。
そして、実際に入札参加資格を取得しようとした際、注意しておきたいのが、原則として「発注機関によって求められる入札参加資格が異なる」という点です。
例えば、自社がA市の入札参加資格を取得しているからといって、同一県内のB町の入札にも参加できるとは限りません。この場合、手続きの手間はかかりますが、別途B町の入札参加資格を取得しなければなりません。
ただ最近では、より多くの企業の入札参加を促す目的で、資格の統一化が進みつつあります。一度、入札参加資格を取得すれば、同一県内で複数の自治体の案件に参加できるようなケースも増えています。
入札参加資格の分類
入札参加資格は、発注内容(業務)によって大きく「物品」「役務」「建設工事」「建設コンサルタント」の4つに分類されます。そして、それぞれの分類で、資格は別のものとして取り扱われています。
例えばA市で「物品」の入札参加資格を取得したとしても、同市の「建設工事」の案件に参加するためには改めて資格を取得しなければならないため、注意が必要です。
なお、自治体によって取り扱いは異なるものの、申請は「物品・役務」「建設工事・建設コンサルタント」といった形で、次の図のように2つにまとめられているケースが多く見受けられます。
全省庁統一資格とは
入札参加資格は公共入札への参加者の信頼性を担保するために重要な要素ですが、複数の発注機関の案件への参加を検討している場合には、それぞれ手続きが必要となる点で非効率的とも言えます。
こうした状況を改善するため、最近では入札参加資格を統一化する動きも加速しています。中でも代表的なのが「全省庁統一資格」です。
全省庁統一資格とは、各省庁における物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)の入札参加資格を指します。
この資格によって、企業は省庁ごとに入札参加資格を新たに取得する必要がなくなります。そのため、発注機関はもちろん、企業にとっても業務効率が改善し、省庁の案件に参加するハードルは大きく下がったと言えます。
しかし、この資格はあくまでも「物品の製造・販売等に係る案件」のみが対象であることに注意が必要です。建設工事などについては従来通り、省庁ごとに入札参加資格を取得する必要があります。
※全省庁統一資格について、詳細はこちらの記事もご覧ください。
なお、自治体においても、前述した通り同一県内の市区町村の案件であれば同一の資格で参加できるよう取り組みが加速しています。
一例として東京都の競争入札参加資格を見ると、2024年7月現在、全区市の案件に同一の資格で参加できるようになっています。さらに5町のうち4町、8村のうち3村を対象としているほか、東京二十三区清掃一部事務組合、多摩川衛生組合及び多摩ニュータウン環境組合の案件に入札することが可能です。
下表では、解説してきた入札参加資格の分類について、発注機関ごとにまとめましたので、ぜひこちらも参考にしてください。
入札参加資格の等級
入札参加資格を申請すると、審査の上で、申請者(企業や個人事業主)の規模などによって等級(ランク)分けが行われます。
これによって、参加者の入札案件できる案件が限定されるため、等級(ランク)は入札参加資格の取得において非常に重要な要素だと言えます。
一見、等級(ランク)分けは不公平のようにも見えますが、実際には入札できる案件を制限することで、大企業と中小企業・個人事業主の競争を回避し、落札の可能性を高めるための制度です。
一例として、前述した全省庁統一資格で「物品の製造」の資格を取得する場合、年間平均精算・販売高や自己資本額の合計、流動比率、営業年数、設備の額などが評価・点数づけされて、下表のような等級分けが行われます。
付与点数 | 等級 | 予定価格の範囲 |
---|---|---|
90点以上 | A | 3000万円以上 |
80点以上 90点未満 | B | 2000万円以上 3000万円未満 |
55点以上 80点未満 | C | 400万円以上 2000万円未満 |
55点未満 | D | 400万円未満 |
※全省庁統一資格の等級分けの詳細は、こちらのコラムをご一読ください。
入札参加資格は誰でも取得できる?
公共入札は広く公正に行われるべきもの、というのが原則ですが、中には入札参加資格を申請したとしても、許可が得られないケースがあります。
具体的には反社会的勢力や、税金の未納・滞納がある企業、民事再生手続き中の企業などが該当します。
入札参加資格の新規申請・更新申請
これから入札参加を検討している場合、各発注機関に新規申請することで資格を取得することができます。
しかし、入札参加資格は永続的なものではなく、発注機関によって違いはあるものの、概ね2〜3年ごとの更新が求められます。そのため、一口に資格の申請といっても、新規申請と更新申請の2種類があることになります。
ここでは、新規申請と更新申請、それぞれの流れについて解説していきます。
新規申請
【申請方法】
- 持参
- 郵送
- 電子申請
※電子申請に対応するにはパソコンやインターネット環境はもちろん、「電子証明書」や「ICカードリーダー」などの準備が必要です。
【主な必要書類】
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 納税証明書
- 財務諸表 など
※申請に必要な書類は取得する各発注機関の入札参加資格ごとに異なります。詳細は申請を検討している発注機関のWEBサイトよりご確認ください。
【有効期限】
有効期限は発注機関によって異なります。
全省庁統一資格(国・省庁の機関/物品・役務の資格): 3年
東京都庁:2年
※資格が失効していた場合、検討中の入札案件に参加できなくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。
更新申請
企業の財務状況・納税状況・体制は日々変化していくもの、という考え方から、入札参加資格は更新制となっています。
そのため継続的に入札に参加する企業にとっては、更新申請は欠かせない手続きとなります。なお、その手順や作業工数は新規申請と同様のケースが多く、簡易的に済ませることはできないため注意が必要です。
特に、多くの発注機関で12月~2月は、申請窓口が開設される繁忙期です。また、中には更新申請の受付が早まったり、有効期限が延長になったりするケースもあるため、入札参加資格の更新に関する情報は定期的に確認しておくようにしましょう。
迷ったらまず資格を申請しておくのがおすすめ
ここまで、公共入札における入札参加資格について、詳しく解説してきました。
入札参加資格の取得をスタートラインとして、自社に合った案件を探し、入札を進めましょう。ただし、実際には、案件が公示されてから入札・落札までの期間が短い(5〜10日程度)ケースも多く、自社にとって魅力的な案件を見つけてから入札参加資格を取得しようとしたのでは間に合いません。
そのため、魅力的な案件が出そうな官公庁・自治体をあらかじめ絞り込んでおき、そうした発注機関の入札参加資格を早めに取得しておくことが重要です。
そして、株式会社うるるでは官公庁・自治体の案件を探すために最適なツールとして、入札情報速報サービスNJSSをご提供しています。
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