調達ポータルとは?入札情報速報サービスNJSSとの違いと使い分けを解説

調達ポータルとは?入札情報速報サービスNJSSとの違いと使い分けを解説

Point

  • 調達ポータルはデジタル庁が提供する公的サービス
  • 国の機関の入札情報を検索、閲覧が可能
  • 自治体・外郭団体の入札情報は掲載されていない

入札案件の情報収集には色々な方法がありますが、そのひとつにデジタル庁が提供する「調達ポータル」があります。

調達ポータルは、国の省庁などが実施する契約案件の情報を一元的に確認できる公的なシステムです。

しかしながら、入札情報の収集を調達ポータルのみで行うのは不十分な場合もあります。使い方や対象範囲を理解したうえで、他のサービスとの併用を検討することも重要です。

この記事では、調達ポータルの概要や具体的な機能、他の情報収集手段との違いについて解説し、入札情報の取りこぼしを防ぐための実践的な活用方法をご紹介します。

調達ポータルとは

調達ポータルとは、各府省が行う物品・役務等の調達に関する情報を一元的に公開している国のシステムです。

情報の閲覧だけでなく、入札参加資格申請(省庁統一資格審査申請)や、政府電子調達システム(GEPS)を通じた入札書の提出、オンライン契約などの手続きも行うことができます。

調達ポータルの運営はデジタル庁が行っています。

調達ポータルの機能とメリット

調達ポータルを使ってできることや、そのメリットを解説します。

入札情報の検索機能

調達ポータルでは、各省庁や一部の独立行政法人などが公示する入札情報を、検索機能で横断的に調べることができます。

各省庁のホームページに個別にアクセスせずに入札情報を一括して検索できる点は、情報収集効率の点で大きなメリットです。

「調達情報検索」機能では、様々な条件から目的の情報を検索することができます。
調達機関(及びその所在地)、調達品目分類、情報の公開日での検索はもちろん、公示情報の種類(入札公告・入札公示、資料提供・意見招請の公示、落札者公示、調達予定公示)、案件名称のキーワード検索も可能です。

入札説明書等のダウンロード

各調達案件のページでは、入札公告文の閲覧のほか添付された入札説明書・仕様書等をダウンロードすることができます。ただし、ダウンロードには利用者登録が必要です。

なお、入札説明書等が調達ポータルに添付されていない場合は、各省庁のホームページ等での掲載場所が案内されます。

調達ポータルの限界

調達ポータルは国の機関が発出する入札情報を横断的に確認できる便利なサイトですが、すべての公共調達情報を網羅しているわけではありません。ここでは、調達ポータルの主な限界について解説します。

地方自治体の入札案件は掲載されない

調達ポータルに掲載されているのは、中央省庁や一部の独立行政法人・特殊法人など、国の関係機関による案件のみです。

したがって、都道府県及び市区町村が発注する案件は掲載されませんので、各自治体の入札情報サイトなどを別途確認する必要があります。

このため、国の機関以外にも地方自治体との取引を検討している事業者にとっては、調達ポータルの情報のみでは不十分です。

都道府県が発注する入札情報を確認するには、各都道府県の入札システム等にアクセスすることが必要です。したがって、47都道府県の入札情報を把握するには、47のサイトへのアクセスを要することになり、これに加えて市区町村の入札情報を確認するためには、さらに確認すべきページが増えていきます。

通知機能はあるが要ログイン

調達ポータルには、特定の発注機関や業種、キーワードなどの条件を登録し、該当する公告が掲載された際に「お知らせ」欄に通知を表示する機能があります。

ただし、この通知はポータルにログインした場合に確認ができるのみで、メール等での自動配信機能はありません。

そのため、最新の公告情報を逃さず確認するには、ユーザー自身が定期的に調達ポータルにアクセスし、通知欄をチェックする必要があります

そのため、入札情報の確認作業に人員を割けない企業や、広範囲の案件を常に追いたい事業者にとっては、運用負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

NJSSとの比較で見える違い

調達ポータルは国の省庁の調達案件について手軽に情報収集できるシステムです。しかしながら、官公庁入札に臨む企業の多くは都道府県・市区町村の案件の把握も必要とするのではないかと思います。

前述のとおり、都道府県・市区町村の入札情報は各自治体のページを確認することが基本ですが、営業エリアが広範になるほど相当の労力が必要です。

そこでおすすめなのが、NJSS(入札情報速報サービス)です。全国の8,900超の発注機関の入札情報を検索することができます

ここでは、調達ポータル等行政が提供するサービスとNJSSの違いを、掲載範囲・運用効率の2点に注目して比較します。

掲載範囲の違い

調達ポータルが対象とするのは、中央省庁や一部の独立行政法人など「国の機関」に限られています。

一方、NJSSは全国の国・地方自治体・外郭団体など8,900以上の発注機関を対象としており、都道府県や市区町村の入札情報も広くカバーしています。

国の案件のみを対象とする事業者にとっては調達ポータルで十分ですが、現実には「国の入札のみに参加する」とする企業は少数派で、自社の営業品目について国以外にも自社の所在する都道府県・市区町村の入札案件にも参加していくことが多数派と考えられます。

例えば、自社の所在する自治体の案件のみ情報収集したい場合でも、市区町村1つ・都道府県1つと、2自治体の入札情報ページにアクセスする必要があります。(※)

そのため、自治体案件まで幅広く対応したい場合はNJSSが有益です。

(※)都道府県・市区町村によっては、入札システムを各都道府県内の市区町村と共同運用している場合があります。この場合、都道府県内の複数自治体の入札情報を都道府県の共同入札システムで確認できる場合があります。

通知機能の違い

調達ポータルでは、調達情報の検索条件を登録すると、検索条件に該当する調達情報の通知を受け取る機能があります。

しかし、この通知を確認するためには、調達ポータルにログインして確認する必要があります。メールによる通知は提供されていません。

このため、最新情報を得るには、自ら定期的にログインしてチェックする手間が発生します。

これに対してNJSSは、登録した条件に基づいてメールで新着案件を自動配信する機能を備えています。これにより、情報の見落としを防ぎつつ、日々のチェックにかかる手間を削減することが可能です。

調達ポータルとNJSSの比較

調達ポータルとNJSSの機能等を比較すると以下のとおりです。

調達ポータル NJSS
対象機関・掲載範囲 国の機関のみ 国の機関
都道府県
市区町村
外郭団体等(独法ほか)
通知機能 あり(要ログイン) あり(メール通知)
費用 無料 有料(無料トライアルあり)
仕様書等の入手
検索機能 あり あり

調達ポータルとNJSSの上手な使い分け

国の入札情報を収集するだけであれば、調達ポータルの活用で基本的な情報は取得可能です。ただし、入札の機会を広げたり、情報の取りこぼしを防ぐには、目的に応じてNJSSをご利用ください。

両者の特徴と用途を正しく理解し、自社にとって最適な情報収集体制を構築することが重要です。

国の入札案件に絞るなら、調達ポータルで対応可能

調達ポータルは、国の省庁や一部の独立行政法人などが発注する案件を集約し、誰でも閲覧できる無料の情報サイトです。

公告情報や関連資料(仕様書など)はログイン不要でダウンロード可能であり、国の案件に限定してビジネスを展開している企業にとっては、コストをかけずに情報収集を行える有用な手段です。

ただし、情報の更新に合わせて自社で定期的にサイトへアクセスしなければならず、通知を受け取るには検索条件の登録が必要です。また、その通知もメール配信には対応しておらず、通知内容を確認するには都度ログインが必要です。人手や時間が限られている企業では、こうした点が負担となる可能性もあります。

地方自治体や多業種にアプローチする場合はNJSSが有効

全国の都道府県・市区町村、さらには一部の外郭団体や公立病院、公立大学などを含め、幅広い発注機関の入札案件に対応したい場合には、NJSSのような有料サービスの活用が現実的です。

NJSSは全国約8,900機関の入札情報を網羅しており、地方自治体や準公的機関も含めた広範な案件を一元的に検索できます。

また、NJSSでは条件に応じた自動メール通知機能が提供されており、キーワード・地域・業種などで細かく検索条件を設定し、該当案件が出た際にメールで通知を受け取れます。

業務が多忙な中小企業や、営業人員が限られている組織にとっても活用しやすい仕組みです。

さらに、NJSSでは過去の落札結果や競合企業の動向も調査できるため、営業戦略の立案や提案資料の裏付けにも役立ちます。

まずは公的サイトで確認し、不十分なら NJSS無料トライアルを活用

まずは調達ポータルや各自治体の公的な入札情報ページを活用して情報収集を実施してみることがおすすめです。無料で使用できますので、使ってみることで検索や情報確認に必要な手間を実際に確認することができます。

そこから、「より多くの発注機関の情報を見たい」「案件を見逃したくない」といったニーズが明確になった段階で、NJSSの無料トライアルを試すことがおすすめです。

トライアル期間中でも全国規模の情報を検索でき、実際の業務との相性を確認したうえで導入判断ができます。

入札参加においては、情報収集が競争力の鍵を握ります。
情報収集の手段が不十分であれば、本来参加できたはずの案件を逃すことにもつながります。目的や業種、営業リソースに応じて、調達ポータルとNJSSを上手に使い分けることが、官公庁入札における競争力を高めるポイントです。

まとめ

調達ポータルは、中央省庁や一部の独立行政法人による入札情報を集約・公開している、国が運営する無料の情報サイトです。誰でも検索・資料ダウンロードが可能で、特に国の案件に特化している企業にとっては有効な情報源となります。

一方で、地方自治体やその他公的機関の案件は調達ポータルに掲載されておらず、通知機能も限定的であることから、広範な情報を網羅的に収集するには限界があります。

とくに多業種・多地域にわたる営業活動を行っている企業や、忙しい中で効率的に入札情報を得たい企業にとっては、全国約8,900機関の案件をカバーし、メール通知なども備えたNJSSのような外部サービスを併用することが有効です。

調達ポータルとNJSSは、それぞれに特徴が異なり、目的や業務体制に応じて適切に使い分けることが入札情報の取りこぼしを防ぎ、ビジネスチャンスを最大化する鍵となります。

自社のニーズに応じてNJSSなどのサービスの導入も検討することで、より実践的かつ戦略的な入札活動を展開することが可能です。

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