指定管理者制度の基本を徹底解説|公募の流れと注意すべき点

指定管理者制度の基本を徹底解説|公募の流れと注意すべき点

Point

  • 指定管理者制度とは地方自治体が設置した公の施設の管理運営を、民間事業者等が代行する制度
  • 民間のノウハウを活かした「住民サービスの向上」と「経費の節減」が目的
  • 指定期間は一般に3〜5年で、選定は公募審査と議会の議決を経て決定される

指定管理者制度とは、地方公共団体が設置する公の施設について、その管理運営を民間事業者や団体に任せる制度です。文化施設やスポーツ施設、福祉施設、公園など、私たちの身近にある多くの公共施設で導入が進んでいます。

指定管理者の選定は公募による場合が多いですが、関心を持ったときには公募が終了していた、ということを経験した事業者の方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、指定管理者制度の基本から、業務委託やPFIとの違い、指定管理者公募の流れ、事業者が知っておきたい実務上のポイントまでを、初めての方にも分かりやすく整理します。

指定管理者の公募への応募を検討している事業者の方に特に役立つ内容ですので、是非最後までご覧ください。

指定管理者制度とは

「指定管理者制度」とは、住民の福祉を増進する目的で設置された「公の施設」の管理・運営を、指定する民間事業者やNPO法人、法人以外の団体等に行わせることができる制度です。

2003年の地方自治法改正によって導入されましたが、それ以前は、公の施設の管理主体は地方自治体が出資する外郭団体等(公社・公団など)に限定されていました。

この旧制度(管理委託制度)を廃止し、より広く民間のノウハウを活用できるようにしたのが、現在の指定管理者制度です。

公の施設を民間事業者が管理運営する制度

指定管理者制度の対象の「公の施設」とは、住民の利用に供することを目的として設置された施設を指し、文化施設やスポーツ施設、福祉施設、公園、観光施設などが該当します。

こうした施設の運営に、民間が持つ多様なアイデアや経営効率を取り入れることで、「サービスの向上」と「経費の削減」を同時に実現することが、指定管理者制度の大きな目的です。

実務面でも、施設の維持管理はもちろん、従来の管理委託制度や業務委託では任せられない「施設利用許可の決定」「許可申請の審査」など公権力の行使にあたる業務も行うことができます。

レクリエーション・スポーツ施設 体育館、武道場等、競技場(野球場、テニスコート等)、プール、海水浴場、宿泊休養施設(ホテル、国民宿舎等)、休養施設(公衆浴場、海・山の家等)、キャンプ場等、学校施設(照明管理、一部開放等)等
産業振興施設 産業情報提供施設、展示場施設、見本市施設、開放型研究施設等
基盤施設 公園、公営住宅、駐車場・駐輪場、水道施設、下水道終末処理場、港湾施設(漁港、コンテナ、旅客船ターミナル等)、霊園、斎場等
文教施設 図書館、博物館(美術館、科学館、歴史館、動物園等)、公民館・市民会館等、文化会館等、合宿所、研修所(青少年の家を含む)等
社会福祉施設 病院、診療所、特別養護老人ホーム、介護支援センター、福祉・保健センター、児童クラブ、学童館等、保育園等

※引用:総務省「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果(令和7年7月1日公表、7月8日修正 )」

条例と議会議決を前提とした指定制度

指定管理者制度では、事業者は契約によって業務を受託するのではなく、条例に基づき議会の議決を経て「指定」されます。指定管理者となる事業者は自治体と協定を締結し、一定期間施設の管理運営を行います。

指定にあたっては指定期間を定めることが必要です。一般的には指定期間は複数年であり、事業者はその期間定められた管理の基準や業務内容に沿って運営を行う必要があります。

指定期間が満了時には原則として再度公募が行われます。必ずしも同じ事業者が継続して指定されるとは限りません。

指定管理者制度導入の背景

指定管理者制度は、2003年の地方自治法改正によって導入されました。それ以前は、公の施設の管理は自治体直営または自治体の外郭団体等に限られており、民間事業者が施設運営に直接関与する余地は限定的でした。(かつての「管理委託制度」)

一方で、各地方自治体は深刻化する財政難、多様化する住民ニーズ等に対応していくことが求められており、これを解決するために民間事業者のノウハウを活用しつつ、住民サービスの向上と経費節減を図る目的で指定管理者制度が導入されました。単に施設を維持するだけでなく、例えば、カフェを併設した図書館や、夜間利用を促進するスポーツ施設など民間企業の柔軟な発想を取り入れることで、施設運営を効率化しつつ地域の活性化を図る狙いがあります。

現在では、全国のさまざまな公の施設で指定管理者制度が活用されています。総務省の調査によれば、2024年4月1日時点で79,332施設で制度が活用されています。
出典:総務省「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果(令和7年7月1日公表、7月8日修正)」

指定管理者制度と業務委託・PFIとの違い

指定管理者制度は、民間事業者が公共施設の管理運営に関与する点で、業務委託やPFI(Private Finance Initiative)と比較されることがあります。しかし、制度の位置づけや事業者が担う範囲は大きく異なります。

ここでは、指定管理者制度と業務委託・PFIとの違いを解説します。

指定管理者制度と業務委託の違い

業務委託は主に民法上の請負や委任契約に基づき、行政の中の特定の「事務」や「作業」を切り出して発注するものです。

一方で、指定管理者制度は「契約」ではなく、自治体の「行政処分(指定)」に基づきます。

業務委託では事業者にて行うことが可能な業務は「事実上の行為、補助的業務」に限られますが、地方自治法に基づく指定管理者制度では「公権力の行使」にあたる「許可の決定」「審査そのもの」なども行うことができます。

また、自治体の条例で規定があるものは、指定管理する施設の利用料収入を、自治体歳入ではなく自社(指定管理者)の収入とすることも可能です。

業務委託の場合、効果的なPRを行って利用料収入を向上させたとしても事業者の収入は定額の委託料が上限です。

一方、指定管理者制度では、自治体からの指定管理料に加え施設利用料も収入にすることが可能となっており、民間事業者に対し創意工夫のインセンティブを付与する仕組みとなっています。

指定管理者制度とPFIとの違い

PFIは「PFI法」に基づき、施設の設計・建設から運営までをパッケージで民間が行う手法です。

施設の設計・建設にあたって、民間事業者は自ら資金を調達する必要があります。建設した施設については、長期にわたってその運営を担います(一般的に15~30年程度)。

これにより、設計段階から「運営コストを抑えるための工夫」を盛り込むことを可能にし、効率的で質の高い行政サービスを実現しようとすることを目的としています。

指定管理者公募の流れと準備のポイント

指定管理者の選定手続きは自治体が条例で定めることとされていますが、概ね公募により行われます。(業務に特殊性等がある場合は、公募せず特定の事業者に「随意指定」する場合もあります。)

ここでは、指定管理者公募の流れと準備のポイントを解説します。

指定管理者公募の一般的な流れ

指定管理者の選定は、概ね次のような流れで進みます。

自治体により差はあるものの、翌年度4月開始の指定管理者公募の場合、公募開始は夏頃、指定管理候補者の決定は秋頃で、議会の議決は2~3月となります。

公募要領の公表

まず、自治体が指定管理者の募集要項や仕様書を公表します。この段階で、対象施設、業務内容、指定期間、指定管理料の上限、評価基準などが示されます。

現地説明会、質問受付

施設での現地説明会が行われる場合もあります。施設の現況について担当者か直接施設運営について説明を受けることができます。

また、公募手続きについても質問を受け付ける期間が設けられることも一般的です。質問に対する回答は一般に公表されるため、質問の仕方は競合他社にも知られることを前提に考える必要があります。

応募書類の提出

審査は書類審査及び面接・プレゼンテーション審査の2段階で行われる場合が多いです。
特に書類審査では、独自の提案部分はもちろんのこと、資料が膨大になることが多いため形式要件の充足についても十分な確認が必要です。

候補者の決定、議会の議決

公募審査を通じて指定管理者の候補者を決定し、その後、各自治体の議会での審査を経て議決されます。

指定管理協定の締結

指定管理の範囲・方法、指定管理委託料の支払い等について定めた協定書を締結します。指定管理者業務は、施設に関する関係法令のほか、この協定書に基づき実施します。

公募前から準備しておくべきポイント

指定管理者の公募に応募する場合、公募開始後に準備を始めていては時間が足りず、十分な検討ができないことがあります。

指定管理への応募を検討する場合、次のような準備を行っておくことがポイントです。

ターゲットとする指定管理施設の整理

自社が指定管理者となり得る「施設の種類・地域」を、自社のサービス・リソース等から把握しておきましょう。

同種の施設であっても、保有する設備、実施する業務には差があるため事前にリサーチしておくことが重要です。例えば、同じ都市公園であっても、園地の広さ、遊具の有無、プールの有無、駐車場の大小、主な利用者などに違いがあります。

公募のタイミングの調査

公募のタイミングを把握することも重要です。指定管理者の指定は数年程度の期間を予め定めて行われます。そのため、ターゲットとする指定管理施設の公募は指定期間の終了日が属する年度中に行われることが多いです。

各自治体のホームページ上で前回公募時の情報や、指定に関する報道発表などを調べることで、次に公募が見込まれる時期を把握することが可能です。

改善すべき点の調査

指定管理者制度を活用している施設は、指定管理者が毎年度事業報告書を自治体に提出することになっています。また、自治体でも、管理運営状況について定期的なモニタリングを実施する場合が多いです。

その結果は、自治体のホームページで公表されていることもあります。こうした資料には、今後の管理運営で改善が望まれる事項が記載されていることがあるため、公募時の提案内容を検討するうえで参考になります。

指定管理者になるメリット・デメリット

指定管理業務への参入を検討する上では、行政案件特有のリスクとリターンを正確に把握しておくことが重要です。

ここでは、民間事業者が指定管理者になるメリット・デメリットを解説します。

指定管理者になるメリット

複数年業務による安定収益

多くの場合、指定期間は3~5年程度です。単年度契約の業務委託とは異なり、中期的視点で人員配置の計画を考えることが可能です。

また、管理業務も複数年度にわたって改善の取組みを行うことも可能になります。

官公庁実績による社会的信用の獲得

「公共施設の管理・運営を任されている」こと自体が、その企業のコンプライアンス体制や財務基盤、実務能力に対しての評価につながることがあります。

民間企業との取引ではもちろん、官公庁案件では入札や公募の参加資格を満たすことにつながります。

地域におけるマーケティング・ブランディング効果

施設を通じて地域住民と直接接点を持つことで、自社のサービスやブランドを広く認知させることも可能です。

例えば、スポーツ用品メーカーが体育館を運営したり、造園業者が公園を運営したりすることで、本業への好影響を生むことも考えられます。

指定管理者になるデメリット

固定費の上昇リスク

多くの場合、自治体から支払われる「指定管理料」は期間中にわたって一定です。電気・ガス料金などのエネルギー価格高騰が起こった際、その上昇分がそのまま自社の利益を圧迫するリスクがあります。

なお、昨今の物価高騰・光熱水費の高騰に対し、指定管理協定書の不可抗力条項を適用し相当額の指定管理料を増額支給する自治体や、指定管理協定に予め物価変動や賃金水準の変動に指定管理委託料を連動させる条項を規定し、より民間事業者の参入を活発化させようとする動きも見られます。

行政モニタリングと事務負担

指定管理には透明性が強く求められるため、各種報告等を各自治体の所管課に行う必要があります。具体的には、毎月の月次報告、年度末の事業報告、さらには自治体の所管課による定期モニタリングへの対応などがあります。

「非継続」リスクと雇用の維持

指定期間満了に伴う次期公募で選定されなかった場合、その施設での事業は指定期末をもって終了します。その際、施設専任で雇用していたスタッフの配置転換など、人事面での大きな課題に直面する可能性があります。

公共施設ゆえの厳しい視線

指定管理制度を活用しているとはいえ、住民から見れば行政が設置している施設に変わりありません。その運営は、自治体が直営で実施する場合と同様に公的施設としての平等・公平さが求められます。

そのため、何らかの事故や不適切な対応が発生した場合は相応の注目を集めることが予見され、結果的に企業イメージに悪影響を与えてしまう可能性もあります。

指定管理者に指定された後の注意点

指定を受けた後も、安定的な運営を維持するためには以下の視点が不可欠です。

モニタリング・評価への対応

自治体によるモニタリングは、「仕様書通りに清掃が行われているか」といった基本的な確認だけではありません。管理協定や年度協定締結時などに設定した各種指標(利用者は満足度、利用者数)や提案時に掲げた「自主事業(イベント等)」の実施状況といった定性的な項目も重視されます。

赤字化等のリスク対応

物価高騰などの不可抗力により赤字が見込まれる場合、自治体との「協議」が必要になります。しかし、協定書に「物価変動によるスライド条項」が明記されていない場合、協議そのものが難航するケースもあります。

参入前(契約・協定締結前)の段階で、リスク分担(リスクの帰属)について細部まで精査し、必要に応じて自治体へ条件交渉を行う姿勢が、長期的な事業継続の鍵となります。

なお、総務省の調査によれば、原材料価格等の上昇に対する対応について、全国の約7割の施設で選定時や協定等に提示がされていると報告されています。
(出典:総務省「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果(令和7年7月1日公表、7月8日修正)」)

まとめ

指定管理者制度は、地域社会への貢献とビジネス成長を両立させる有効な手段の一つです。しかし、メリットを最大化しデメリットを最小化するためには、競合他社の提案内容や自治体が望む管理の方向性など事前の分析や準備が不可欠です。

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