コンセッション方式とは?公共施設運営の仕組みを解説

コンセッション方式とは?公共施設運営の仕組みを解説

Point

  • コンセッション方式とは公共施設の所有権を自治体が持ったまま、民間事業者に「運営権」を設定する方式
  • 事業者は利用料金を直接自社の収入として収受し、施設の運営・維持管理を担う
  • 指定管理者制度(3〜5年)よりも長い15年以上の長期契約が一般的

公共施設の運営に民間のノウハウを活用する手法の一つに「コンセッション方式(公共施設等運営権)」があります。

コンセッション方式とは、施設の所有権は自治体などの公共主体が持ったまま、民間事業者に運営権を設定し、利用料金収入を得ながら施設運営を担わせる仕組みです。空港や上下水道、文化施設などで導入事例があり、PFIや指定管理者制度とは異なる特徴があります。

この記事では、コンセッション方式の概要、他制度との違い、メリット・デメリット、事業受託までの手続きの流れをわかりやすく解説します。官民連携への参入を検討している事業者の方にとって役立つ内容ですので、是非最後までご覧ください。

コンセッション方式とは

コンセッション方式(公共施設等運営権)とは、公共施設の所有権は自治体などの公共主体が持ったまま、民間事業者に施設運営を任せる方式です。

コンセッション方式は平成23年のPFI法改正により制度として導入された方式です。公共側が施設を保有し続けるため、公共性を維持しながら、民間のノウハウを活かした運営改善を図ることが目的とされています。

公共施設等運営権(運営権)

コンセッション方式の特徴は、民間事業者に公共施設等の「運営権」が設定される点です。運営権を設定された民間事業者は、条例や契約で定められた範囲内で、施設の運営やサービス提供を担います。

また、運営権は資金調達の面でも重要です。運営権を担保に、金融機関や投資家からの融資・投資を受けることも可能とされています。

利用料金収入を運営権者の収入とする仕組み

コンセッション方式では、施設の利用者が支払う利用料金を、運営権者である民間事業者が収受し、事業運営の原資とすることが想定されています。

運営権者は、利用料金収入をもとに、施設の維持管理、サービスの提供、設備の修繕、事業収支の確保を行うことになります。

ただし、公共施設である以上、料金設定は自由に決められるものではなく、施設の設置目的に照らして公共性を維持する必要があります

コンセッション方式とPPP・PFI(従来型)・指定管理者制度の違い

行政が民間活力を活用する手法として、コンセッション方式のほか「PPP」「PFI」「指定管理者制度」があります。

いずれも、公共施設の整備や運営に民間活力を取り入れる仕組みですが、制度や民間事業者に与えられる権限には違いがあります。

ここでは、コンセッション方式と他の制度との違いを解説します。

「PPP」と「コンセッション方式」の関係

PPP(:Public Private Partnership)は、公共サービスの提供に民間の資金やノウハウを活用する官民連携の総称です。

したがって、コンセッション方式は「PPP」に該当する手法のひとつです。後述のPFIや指定管理者制度もPPPにおける方式の一つです。

「PFI」と「コンセッション方式」の関係

PFI(Private Finance Initiative)は、民間資金等を活用して公共施設の整備や運営を行う方式です。その点で、コンセッション方式もPFIの手法のひとつです。

従来からのPFIでは、施設の建設や維持管理を民間事業者が担います。事業者の収入は、行政が支払うサービス対価(サービス購入型)、または施設利用者が支払う利用料金(独立採算型)、及びその両方(混合型)です。

一方コンセッション方式は、行政等が施設の所有権を持ったまま民間に運営権を設定し、民間事業者は権利設定の対価を支払います。民間事業者は、施設の利用料金収入を運営の原資とします。

「指定管理者制度」と「コンセッション方式」の違い

指定管理者制度は、公の施設について民間事業者等を指定して管理運営させる地方自治法に基づく制度です。

指定管理者制度では、施設の管理運営のほか使用許可権限を委ねることができます。指定期間は3〜5年程度が一般的です。

また、指定管理者制度でも利用料金制の施設で予め承認を受けた場合は利用料金を直接指定管理者の収入とすることが認められています。

これに対し、コンセッション方式はPFI法に基づき公共施設等運営権を設定し、民間事業者が長期的な運営を前提として施設を「経営」する点に特徴があります。その期間は、概ね15年以上に及びます

コンセッション方式のメリット

コンセッション方式のメリットは、行政、民間事業者、住民など複数の関係者に及びます。

行政にとってのメリット

コンセッション方式の行政にとってのメリットは、公共施設を保有し続けながら、民間の技術力や経営ノウハウを活用できる点にあります。

運営権を設定することで対価(運営権対価)を得られるほか、民間の投資ノウハウを活かした老朽化対策や耐震化の促進、技術職員の減少に対応した技術承継の円滑化などが期待できます。

民間事業者にとってのメリット

公共施設の運営に参入する新たな事業機会が生まれることが大きなメリットです。公共施設の運営業務が民間に開放されることで、民間事業者による地域での事業機会の創出がされます。

特に、一定の範囲で柔軟な料金設定が可能となる点や、運営権に抵当権を設定できることによって資金調達が円滑になる点も、コンセッション方式ならではのメリットです。

住民・利用者にとってのメリット

民間事業者による自由度の高い運営が可能となることで、公共サービスの料金水準で良好なサービスを享受できる点がメリットです。

利用者ニーズを踏まえたサービス改善や、施設の稼働率向上による利便性の向上などが期待されます。

コンセッション方式のデメリット

コンセッション方式は、民間のノウハウや資金を活用しながら公共施設のサービス向上を図れる仕組みですが、その一方で注意すべきデメリットもあります。

民間事業者が負うリスク

コンセッション方式では運営権者(民間事業者)が利用料収入を得る反面、その変動によるリスクを負担します。運営権者は利用料金収入を原資として施設運営を行うため、利用者数の変動や収支悪化の影響を直接受けます

需要の見込みが外れた場合には、運営経費や更新投資を賄うことが難しくなる可能性があり、経営的な責任を伴う方式であることを理解しておく必要があります。

また、一般的なPFIと異なり施設の設計者と運営者が同一事業者ではないので、施設が運営権者にとって使い勝手のよい設計になっているとは限らない点も注意が必要です。

公共性の維持・モニタリング負担

公共施設である以上、運営権者が自由に料金やサービス内容を決められるわけではなく、施設の設置目的に照らして公共性を維持する必要があります。

また、一定程度の行政への報告等が求められることが一般的で、これに要する負担も適切に見積もっておくことが重要です。

コンセッション方式による事業受託の手続きの流れ

コンセッション方式による事業を開始するには、PFI法に基づく手続きを行う必要があります。

自治体等による準備(民間意向調査等)

最初に、自治体などの公共主体は、コンセッション方式の導入可能性調査を行います。
施設の現状や収支見通し、民間活力を導入する必要性などを踏まえ、コンセッション方式が適切な手法であるか検討します。

民間事業者の投資意向を把握するために、マーケットサウンディング(民間投資意向調査)が実施されることもあります。

実施方針の策定・公表

実施方針を策定し、公表します。実施方針では、運営業務の範囲や料金設定の考え方など、事業の基本条件が示されます。

施設の管理者が地方公共団体の場合、あわせて、条例制定などの準備も進められます。

民間事業者の選定手続き

募集要項が公表され、複数回の審査を行うことが一般的です。民間事業者の自由な発想や提案を取り入れるため、行政と民間事業者間で十分な対話機会を確保することが重要とされます。

審査の結果、優先交渉権者が決定し、その事業者と行政との間で基本協定を締結します。

運営権設定と実施契約の締結

優先交渉権者が選定されると、実施契約が締結され、運営権設定に関する議会議決や運営権登録などの手続きが行われます。運営権は設定・公表され、民間事業者は正式に運営権者として施設運営を担うことになります。

運営準備を経て事業開始

その後、業務引継ぎなどの運営準備期間を経て、事業が開始されます。事業開始にあたっては、利用料金の届出など必要な手続きも求められます。

まとめ

コンセッション方式とは、公共施設の所有権は自治体などの公共主体が持ったまま、民間事業者に公共施設等運営権(運営権)を設定し、施設運営を任せる方式です。利用料金収入を運営権者の収入としながら、民間のノウハウを活かした運営改善やサービス向上を図る点に特徴があります。

PPPや従来型PFI、指定管理者制度と比べると、コンセッション方式は民間事業者に与えられる裁量が大きく、長期的な運営や投資を前提とした仕組みとなっています。一方で、利用者数の変動など事業リスクを民間側が一定程度負うことになる点に注意が必要です。

コンセッション方式による事業受託を検討する民間事業者にとっては、対象施設の公表から公募の審査を経て事業開始に至るまで、1年を超える期間で情報収集・対応が必要となる点を理解しておくことが大切です。

特に、コンセッション方式による事業者公募に応募を検討する際は、募集条件や評価項目、過去の類似案件の傾向を事前に把握することが、提案準備の精度を高めるうえで欠かせません

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