競争入札とは? 価格勝負だけではない入札の仕組みを解説

2021年07月14日

公共入札と聞くと「新規参入にはハードルが高い」と思われる方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、公共入札の案件のうち、6割以上は新規参入でも参加が可能な入札方式を採用しています。その中で最も多くの割合を占めているのが、競争入札の一つである「一般競争入札」です。

そこで本記事では、競争入札について、その仕組みと落札するための5つのポイントについて解説します。

1.入札の種類

公共入札における契約方式は、大きく「一般競争契約」「指名競争契約」「随意契約」の3つに分類されます。

「一般競争契約」の主なものには、前述した「一般競争入札」があります。これは、入札資格を取得していれば誰でも入札が可能で、基本的に最も有利な条件を提示した企業を契約相手とする入札方式です。このほかに、最低金額を提示した者を契約者とする「見積もり(オープンカウンター)」や、入札希望者の中から一定の条件を満たす者を選定し競争入札を行う「公募(公募型競争入札)」があります。

「指名競争契約」の主なものには、「指名競争入札」があります。これは、案件を発注した官公庁などが特定の企業を指名し、その中で最も有利な条件を提示した企業と契約する入札方式です。このほかに、入札希望者の中から入札参加者を指名し競争入札を行う「希望制指名競争入札」があります。

「随意契約」は、競争入札を行わずに契約相手を決める方式です。主なものとしては、入札希望者に定められたテーマの企画書などの提出を求め、最も適した提案をした者を契約相手とする「プロポーザル(企画競争)入札」があります。この方式は、緊急の案件や小額の案件、規模の小さな案件などで使われることが多いです。

1-1.入札への参加方法

入札に参加するためには、「参加資格の取得」が必要です。参加資格の取得にあたって試験などはなく、必要書類を各申請先へ提出することで資格審査を受けることができます。

また、費用は無料で、窓口・郵送・インターネットの3つの方法で申請を受け付けています。申請先や申請方法、時期などによって違いがありますが、参加資格の取得までには数週間から数か月かかります。そのため、入札したい案件がある場合は、その入札期限に間に合うよう余裕を持って申請をすることが重要です。早ければ2週間ほどで取得できるケースもあります。

なお、発注機関や入札案件によって必要な資格や申請先が異なるので注意が必要です。ここでは、入札の参加に必要な資格を「国の機関」「外郭団体」「地方公共団体」に分けて解説します。

■国の機関

国の機関には、中央省庁をはじめ、衆議院や参議院、最高裁判所などがあります。
これらの機関の入札案件のうち、物品の購入や役務の提供に関する入札には「全省庁統一資格」が必要です。取得の申請は、「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」や各発注機関の受付窓口から行うことができます。
一方、建設や工事、測量、建設コンサルタントといった入札には、発注機関ごとに参加資格が必要です。

■外郭団体

外郭団体には、独立行政法人や特殊法人、特殊会社、公益財団法人などがあります。
基本的に、入札案件の種別に関わらずそれぞれの発注機関の参加資格が必要です。
一方、一部の外郭団体では、国の機関と同様に物品の購入や役務の提供に関する入札に、「全省庁統一資格」を利用できるケースもあります。

■地方公共団体

地方公共団体には、都道府県庁や市区町村の役所・役場などの行政機関、学校・図書館などの施設があります。
地方公共団体の入札は、案件の種別に関わらずそれぞれの発注機関の参加資格が必要です。

2.競争入札とは

ここまで入札の種類と参加資格について解説してきました。入札方式の中で最も多く使われているのが競争入札です。競争入札とは、売買や請負契約などにおいて、発注機関が複数の契約希望者の中から最も有利な条件を提示した者と契約を結ぶ方式です。
本記事では、代表的な2つの競争入札「一般競争入札」・「指名競争入札」について解説します。

2-1.一般競争入札

「一般競争入札」は、入札情報を公告して契約希望者を募集し、各契約希望者が提示した条件を基に契約相手を決定する入札方式です。
入札案件の約3割がこの一般競争入札で、参加資格を取得していれば誰でも入札に参加することができます。

2-2.指名競争入札

「指名競争入札」は、発注機関があらかじめ入札できる企業を指名し、各企業が提示した条件を基に契約相手を決定する入札方式です。
一般競争入札と異なるのは、「すべての希望する企業が入札に参加できるわけではない」というところです。発注機関による指名は、企業の規模や過去の業務実績などによって行われます。

3.競争入札で落札するための5つのポイント

近年の公共入札の市場規模はおよそ20兆円と成長を続けています。公共機関に関わる業務は、信用性の高さや支払いの安定性、企業のイメージアップにもつながるため、入札に参加する企業も増えつつあります。

その一方で、闇雲に参加するだけでは成果につながらないこともあるため、受注(落札)に向けてできる限りの対策をして臨むことが重要です。

具体的には、次の5つのポイントを押さえておくことをおすすめします。

様々な機関の案件情報を随時チェックする

入札には資格審査やそれに伴う書類の準備、受注額決定のための情報収集などの時間も必要です。そのため、入札期限が迫っている場合、準備が間に合わず入札できないといったケースも想定されます。
したがって、入札案件情報を随時チェックし、最新の情報をいち早く得ることが重要です。

自社の強みが活かせる案件、他社と差別化できる案件を探す

国の機関や地方自治体、外郭団体などの発注機関は全国に7,600以上あります。
そのため、地方機関や小規模機関も含めて公示されている案件をもれなくチェックすることで、自社が得意とする分野の案件や思ってもみなかった受注可能な案件が見つかる可能性があります。

過去の入札情報や落札情報をチェックする

落札の確率を上げるためには、過去の入札結果の収集も重要です。入札結果から案件ごとのある程度の相場観をつかむことが可能で、最適な見積もり額の算出には欠かせません。また、発注機関や案件の傾向も分析・予測することができます。

競争倍率の低い案件に参加する

国家資格や特定業務の実績などが求められない案件や、東京を中心とした主要都市の公共機関の案件は、競争率が高くなりがちです。
そのため、落札を中長期的に見据え、必要な資格の取得を目指すことも一つの手です。一方で、なるべく早く成果を出したい場合には、競争率が低い傾向にある、都市部から離れた地方公共団体や外郭団体の案件への入札がおすすめです。

多くの入札に参加する

発注機関や案件を絞りすぎないことも重要です。できるだけ広い範囲で類似した案件を探してみましょう。複数入札することで受注(落札)の可能性が広がるうえ、小規模・小額な案件でも受注できれば自社の実績となります。

落札のカギは綿密な情報収集!

ここまで、競争入札のしくみと落札するための5つのポイントについて解説してきました。公共入札は巨大な規模と豊富な案件数があり、大変魅力的な市場と言えます。そして前述したように、落札のためには案件や過去の入札結果といった情報をスピーディに収集することが重要です。

一方で、発注機関によって入札案件の表示方法が異なるため、情報をもれなく収集することは容易ではありません。

そこで最近では、公共機関の入札情報をWebサイトに集約・掲載する「入札情報サービス」が登場し、活用する企業が増えています。こうしたサービスを活用して、自社の強みが活かせる入札案件探しをスムーズに行うことができます。

株式会社うるるでは、国内最大級の入札情報速報サービス「NJSS」を提供しています。NJSSでは、全国7,600を超える発注機関から情報を収集しており、年間200万件の案件をご確認いただくことができます。

また、入札情報だけでなく落札会社や金額などの入札結果(落札情報)も収集しており、企業の入札業務の効率化や戦略立案にお役立ていただけます。8日間の無料トライアルも実施していますので、ぜひ一度お試しください。