官公庁入札とは? 一般競争契約と随意契約との違いも徹底解説

2021年07月14日

「官公庁入札」と一口に言っても、入札資格を持っていれば誰でも参加できる案件、一定の条件を満たしている企業や発注機関が指名した企業のみ参加ができる案件など、様々な種類があります。

そのため、本記事をご覧になっている方の中には、「官公庁入札に興味があるけれど、入札方式が複雑でわかりにくい…」という方や、「主に大企業が落札していて、中小企業や新規参入企業には難しいのでは?」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、入札方式の種類とともに、入札案件の種類、大企業と中小企業の受注割合について解説していきます。

1.官公庁入札とは

1-1.官公庁とは

官公庁とは、国や地方自治体の公的機関のことを指します。

具体的には、衆議院・参議院などの立法機関や、総務省・厚生労働省などの中央省庁、都道府県庁、市区町村の役所・役場などの行政機関、そして最高裁判所や地方裁判所などの司法機関が官公庁にあたります。

これら公的機関や一部の外郭団体(独立行政法人や特殊法人、公益財団法人など)が、建設工事や物品購入、役務提供などの発注を行う際に入札が行われます。これを「官公庁入札」といい、その案件数は近年、年間200万件にものぼります。

1-2.入札方式の種類

官公庁入札の方式は、「一般競争契約」「指名競争契約」「随意契約」の3つに大別されます。そして、これら3つの方式からさらにいくつかの種類に細分化されます。これらの入札方式のほとんどが、資格を持っていれば誰でも入札参加できるものです。

入札方式の中で案件数が最も多いのは、一般競争契約の一種である「一般競争入札」です。これは、発注機関が入札した企業の中で最も有利な条件を提示した企業を契約相手とする、オーソドックスな方式です。

このほかにも、最低金額提示者を契約者とする簡易型一般競争入札の「見積り(オープンカウンター)」、一定の資格や条件を有する企業を選定し入札を行う「公募(公募型競争入札)」、不特定多数の企業に企画書などの提出を求め、最も適した提案をした企業と契約する「企画競争入札(プロポーザル入札)」といった方式があります。

一方で、「指名競争入札」や「随意契約」では、特定の企業のみが入札・契約することができます。

「指名競争入札」は、企業規模や業務実績などを基に、発注機関があらかじめ入札できる企業を指名する方式で、指名された企業の中で最も有利な条件を提示した企業が受注します。「随意契約」は、企業同士の競争入札を行わずに契約相手を決める方式で、緊急の案件や小規模な案件、少額な案件などで使われることがあります。

この「指名競争入札」と「随意契約」は、合わせても全体の3~4割に過ぎず、6割以上は誰でも自由に参加ができる「一般競争契約」です。そのため、入札市場は中小企業や新規参入企業にとっても参入しやすいと言えます。

2.入札案件の種類

入札案件の種類は、「建設工事」と「役務・物品」の2つに大別することができます。

2-1.建設工事

官公庁入札における建設工事(公共工事)には、役所・学校などの公共施設や、道路・橋・トンネルの補修や建設などがあります。

入札と聞くと、こういった「建設工事系の案件ばかり」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、入札案件全体の4割ほどで、とりわけ多いわけではありません。

2-2.役務・物品

入札案件のうち6割は役務提供や物品購入に関する案件です。

例えば役務には、施設の清掃、システムの開発・運営管理、広告宣伝、車両整備などが含まれます。一方の物品には、事務用品や事務機器をはじめ、衣類、医療機器、車両などが含まれます。

このように、入札市場には建設工事だけでなく、幅広い業種の企業が関わることのできる案件も豊富です。

3.中小企業の受注が増えています

入札に関して、「大企業が有利?」「多くの案件は大企業が受注している?」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際はそうではありません。

3-1.大企業と中小企業の受注割合

入札案件の中には、中小企業でも受注しやすい案件が多数あります。実際に、国の機関の入札案件の6割、地方自治体の機関の入札案件の7割が中小企業によって落札されています。

3-2.中小企業の受注支援

この背景には、中小企業の受注増大を目的として、国が法律やしくみを整えていることがあります。

具体的には、中小企業者の受注機会確保を掲げた「官公需法」が制定されたり、国の機関の役務・物品購入に関して、入札制限が行われたりしています。例えば、国の機関の役務・物品に関する入札の共通資格である「全省庁統一資格」の審査の際には、規模や実績などで企業をA〜Dの4つに分けられ、ランクごとに入札できる案件が指定されます。

このほかにも、毎年、中小企業の契約目標額が設定されるなど、中小企業が入札・受注しやすい環境が整備されています。

4.入札案件の探し方

ここまで、入札方式や入札案件の種類、大企業と中小企業の受注割合について解説してきました。

前述した通り、入札案件の6割以上は誰でも参加できる入札方式がとられていること、国の働きかけで中小企業の受注増大が促されていることから、官公庁入札は新企業の参入・中小企業の参入がしやすい環境となっています。

また、入札案件数も年々増えており、今や年間200万件にものぼります。しかし、豊富な案件の中から、自社に最適な入札案件を探すことは容易ではありません。入札案件の詳細を確認するためにはそれぞれの発注機関のサイトをチェックしなければならないためです。

関東の一都三県だけでも発注機関は900機関を超えるため、各発注機関のサイトを随時チェックすることは現実的とは言えません。

そこで、こうした課題の解決方法の一つとして、官公庁の入札情報を集約・掲載する「入札情報サービス」が注目を集めており、活用する企業が増えつつあります。「入札情報サービス」活用のメリットは、入札情報の一括管理です。各発注機関のサイトをチェックする時間や手間を削減できるため、入札にまつわる業務の効率化につながります。

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