DXが進む国・自治体の「電子入札」とは? 参加の流れから注意事項まで徹底解説

2021年07月28日

近年、企業におけるDX推進の取り組みが進んでいます。同様に、官公庁においてもDX推進の取り組みは加速しています。その一例として挙げられるのが「電子入札」です。

従来、入札手続きは紙を利用して実施されてきました。これに加えて、最近ではインターネット回線を利用した電子入札が導入されています。電子入札は、発注機関側・入札する企業側双方に様々なメリットがもたらす一方、課題も残されています。

そこで本記事では、電子入札の概要とともに、メリットや課題、利用にあたっての事前準備について詳しく解説します。

1.電子入札とは

1-1.電子入札とは

「電子入札」とは、これまで入札会場で入札書(紙)によって行っていた入札を、インターネット回線を用いて電子的に行うシステムです。

1-2.電子入札の目的とメリット

電子入札を活用することで入札参加者は、場所を問わず入札情報の閲覧や入札書の提出、落札結果の確認などを行うことができます。

そのため、入札に参加する企業には、従来かかっていた入札会場までの移動時間や待ち時間、移動コストの削減といったメリットがあります。

一方、電子入札は発注機関側にもメリットがあります。具体的には、入札会場の確保や設置業務が不要になることによる担当者の工数・コストの削減、入札事務におけるミスの低減・迅速化などの効果を挙げることができます。また、入札者の地理的な問題・時間的な問題が解消されたことで、入札に参加する企業増大の効果も期待できます。 さらに、電子入札は入札案件の公示から入札・開札までインターネット回線を介して行われるため、企業同士あるいは企業と発注機関の接触機会を減らすことができ、談合機会の減少にもつながっています。

2.電子入札の流れ

2-1.電子入札に必要な機材など

電子入札の参加にあたって、次の機材などが必要です。

・パソコン
・インターネット環境
・電子証明書(ICカード)
・ICカードリーダ

ICカードとは、電子証明書を格納したカードのことを指します。このカードは、書面の手続きにおける実印と印鑑証明書に相当します。インターネットなどを利用した電子文書のやり取りにおいては通常、なりすましやデータ改ざんを防止するために使用されます。

ICカードリーダとはICカードを読み取るために必要な機器で、パソコンに接続して使用します。ICカード及びICカードリーダは認証局で購入することができます。

なお、認証局は複数あり、発注機関の利用している電子入札システムによっては対応していない場合もあります。また、基本的にICカード1枚で複数の入札参加が可能ですが、発注機関や案件によっては複数枚必要な場合もあるので、注意が必要です。

2-2.入札前の準備

必要な機材などが整ったら、電子入札システムを利用するための設定を行います。

まずは、ICカード及びIC カードリーダの設定・動作確認を行います。設定及び使用に必要なソフトウェアや手順は製品によって異なるため、各認証局の案内や手引書などを確認してください。

次に、電子入札システムの設定を行います。入札を行いたい機関の電子システムに接続し、利用者情報の登録やICカードの登録などを行います。

2-3.基本的な入札の流れ

機器の接続設定やシステムへの登録が完了したら、いよいよ入札です。ここでは、国土交通省電子入札システムの一般競争入札方式(標準型)を例に、電子入札の流れを紹介します。

1.入札前
案件情報を閲覧し、入札したい案件が決まったら、発注機関に「競争参加資格確認申請書」を提出。その後発注機関から送付される「競争参加資格確認申請書受付票」及び「競争参加資格確認通知書」を受領する。

2.入札
「入札書」や内訳書などの添付書類を提出。その後送付される「入札書受付票」及び「入札締切通知書」を受領する。

3.開札
開札後に送付される「落札者決定通知書」を受領する。落札した場合、発注機関の案内に沿って契約手続きを行う。

以上が、落札までの大まかな流れです。機器やインターネット回線のトラブル発生によって入札時間に間に合わないケースもあるため、時間に余裕を持って入札することが重要です。

3.電子入札の課題

「電子入札」システムには、国土交通省(コアシステム)、総務省方式、独自方式など複数のシステムがあり、効率的な運用のためにも統一化が課題となっています。

発注機関によってシステムが異なると、操作方法だけでなく、対応するPCやICカード、ICカードリーダなどの機器も異なる場合があり、手間やコスト面で入札者に負担がかかってしまいます。

こういった課題への対応策として、官民参画の「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」が、国土交通省が開発した電子入札システムをベースにした基本システムの開発を進めています。これにより、様々なシステムの乱立による発注者側における開発費等の増大や、入札者側における複数システムへの対応の必要性といった問題を回避することが期待されています。

4.自社に合った入札案件を見つけましょう

ここまで、電子入札の概要やメリット・課題、利用にあたっての事前準備について解説してきました。

前述したシステム開発が進めば、電子入札はよりスムーズになると考えられます。そのため、企業が入札に参加しやすい環境がこれまで以上に整うことになりそうです

他方で、依然として入札に関する課題が残っている部分もあります。入札案件はそれぞれの発注機関のサイトに公示されている場合が多く、実際に企業が入札案件を探す際には、各発注機関のサイトをチェックしなければなりません。さらに、発注機関は、国の機関や地方公共団体、外郭団体も合わせると全国に7,600以上あるため、その案件情報をもれなく収集することは容易ではありません。

こうした課題を解消するため、最近では「入札情報システム」を導入・利用する企業が増えつつあります。入札情報システムとは、全国の入札案件を集約・掲載するサービスです。こうしたサービスを利用することで、入札にまつわる業務を効率化することができます。

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