- NETISとは国土交通省が運用する新技術のデータベース
- 民間の新技術について概要や効果を共有し、建設現場の生産性向上や省人化を目指すもの
- 総合評価落札方式での加点や、工事成績評定での加点対象となり公共入札でのメリットもある
「NETIS(新技術情報提供システム)」は、公共工事における新技術活用を進めるために国土交通省が運用している情報提供の仕組みです。
NETISは一般に公開され誰でもアクセスできますが、実務上どのように活用すればよいのかが分かりにくいと感じている事業者も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、NETISの概要、総合評価や工事成績評定との関係、登録技術の見方、さらに実務での入札戦略までを、入札実務の視点で解説します。
これから公共工事への参入を検討している事業者や、NETISをどのように活かすべきか悩んでいる担当者の方にとって、判断の整理に役立つ内容ですので、是非最後までご覧ください。
NETIS(新技術情報提供システム)とは
国土交通省が運用する「新技術の情報共有データベース」
NETIS(新技術情報提供システム:New Technology Information System)は、国土交通省が運用する、新技術に関わる情報を共有・提供するためのデータベースです。
公共工事において活用が見込まれる民間の新技術について、その概要や適用条件、期待される効果などを、発注者・施工者の双方が共通に参照できるようになっています。
NETISに登録されている情報は、技術の名称や概要だけでなく、適用可能な工種・分野、従来技術との違いなども含まれています。
発注者は、NETISを活用することで設計・発注段階で新技術の検討材料を得ることができ、施工者は入札や施工計画の検討にあたって、活用可能な技術の情報を収集することができます。
新技術情報の収集・共有、工事での適用・検証まで体系化
NETISは単に技術情報を掲載するだけでなく、公共工事で実際に新技術が活用された結果やその評価を蓄積していく仕組みもあります。
具体的には、NETISを中核に新技術情報を集めて共有し、直轄工事等での適用、効果の検証・評価を実施する流れが体系化されています。
現場で使われた結果(効果や留意点)が蓄積され、次の工事で技術選定・提案を行う際の判断材料として再利用できるよう設計されています。
国土交通省発注工事における活用
国土交通省の直轄工事では新技術の活用にあたり5つの方式があり、発注者から技術の指定がある場合と施工者から技術を提案する場合があります。
「発注者指定型」:発注者が新技術を指定して発注する方式
発注者が工事発注時に活用技術を指定する方式です。施工者は指定された技術を活用して工事を施工します。
「施工者選定型」:施工者が新技術を提案する方式
総合評価落札方式の技術提案時や、受注後に新技術の活用を発注者に提案する方式です。入札や工事成績評定で加点等が見込まれるのはこの方式です。
「試行申請型」「フィールド提供型」「テーマ設定型」:新技術開発者が公募・活用申請する方式
新技術の開発者が活用申請をしたり、国土交通省の各地方整備局等による技術公募に応募し、事前審査を経て国土交通省直轄工事での技術指定を得る方法です。
NETISを活用すべき3つの理由
NETISは、国土交通省発注工事の入札制度や工事成績評定とも関連しています。
ここでは、入札参加者の立場から、NETISを把握・活用しておくべき主な理由を3つに整理します。
総合評価落札方式での加点になることがある
国土交通省直轄工事の総合評価落札方式での入札では、新技術の活用が評価項目の一部として扱われる場合があります。
評価対象となるのは、「施工者が自らNETIS登録技術等を選定し提案した場合」が基本です。発注者が設計図書等で指定した技術を使用する場合は、どの入札参加者も当該技術を使用することが前提ですので、基本的に加点対象となりません。
そのため、NETISに登録されているかどうかだけでなく、当該工事がどの活用方式に該当するか、評価基準で新技術がどのように扱われているかを事前に確認し、提案することが重要です。
工事成績評定への反映
NETIS登録技術の活用は、国土交通省直轄工事において、工事成績評定の考査項目「創意工夫」の中で評価されるようになっています。
地方整備局工事成績評定実施要領では、創意工夫について「施工上の工夫や改善により、品質・安全性・施工性等の向上が認められる場合」に加点できるとされています。
加点措置は活用するNETIS登録技術の評価状況と工事における効果の程度によって、2点~1点の範囲で加点されます。「創意工夫」は主任技術評価官の評価項目ですので、最大2点の加点の場合、評定点への実加点は最大2点×0.4=0.8点となります。
なお、発注者が設計図書や特記仕様書において使用を指定した技術をそのまま使用しただけの場合は、創意工夫としての加点対象にはなりません。あくまで、施工者の提案により技術を選定・活用した場合のみに工事成績評定へ反映されます。
(参考:工事成績評定への反映)
- NETIS登録技術のうち、事後評価未実施技術または事後評価で「有用とされる技術」と評価された技術を活用し、活用の効果が相当程度確認できた。…2点の加点
- NETIS登録技術のうち、事後評価未実施技術または事後評価で「有用とされる技術」と評価された技術を活用し、活用の効果が一定程度確認できた。…1点の加点
- NETIS登録技術のうち、事後評価実施済み技術(「有用とされる技術」を除く)を活用し、活用の効果が相当程度確認できた。…1点の加点
※「有用とされる技術」とは、「公共工事における新技術活用スキーム」実施要領である「推奨技術、準推奨技術、活用促進技術、評価促進技術」をいう。
※「公共工事等における新技術活用スキーム」とは、NETISを中心とした民間事業者等により開発された有用な新技術を公共工事等において積極的に活用していくためのスキーム。
参考:国土交通省ホームページ「新技術活用~公共工事等における新技術活用スキーム~」
施工効率化や生産性向上を目的とした活用
NETISを通じた新技術活用は、入札・工事の評価制度への対応だけでなく、施工現場における効率化や生産性向上を目的として進められています。
国土交通省では、生産年齢人口の減少や災害の激甚化・頻発化といった背景を踏まえ、建設現場の生産性向上(省人化)の取組み(i-Construction 2.0)を通じて、新技術の導入を促進する方針を示しています。
NETISに登録されている技術には、省人化や作業時間の短縮、安全性の向上などを目的としたものが含まれています。工事条件によっては、従来工法に比べて施工の合理化が図れる場合があります。
こうした技術を適切に選定し、現場条件に合わせて活用することで、結果として施工計画の実効性を高めることにつながります。
NETIS登録技術の選び方と「A・VR・VE」記号の判別法
NETIS登録技術を入札や施工で活用する際には、登録番号の末尾に付されているアルファベット(情報種別記号)を正しく理解しておくことが重要です。
この記号は、当該技術がどの評価段階にあるか、また継続的な調査や評価が必要とされているかを示すものであり、総合評価や工事成績評定との関係を考えるうえでの前提情報となります。
NETIS登録番号の仕組み
NETISの登録番号は、概ね以下の要素で構成されています。
- 先頭のアルファベット2文字:登録した地方整備局等を示す略号
- 続く数字:登録年度および登録順番号
- 末尾のアルファベット:情報種別記号
例えば、「KT-25-9999-A」の場合、各数字等の意味は以下のとおりです。
- KT…関東地方整備局
- 25…2025年度の登録
- 9999…登録順番号。この場合は9999番目の登録
- -A…情報種別記号
このうち、情報種別記号の種類は以下の通りです。
- -A:評価されていない技術
- -VE:評価済み技術のうち継続調査不要の技術
- -VR:評価済み技術のうち継続調査等の対象とする技術
- -AG、-VG:掲載期限が終了した(新技術ではなく一般)技術
入札実務において特に確認すべきなのは、この最後の情報種別記号です。この記号によって、技術の評価状況や、施工後に求められる対応が異なります。
「-A」:評価が行われていない技術
末尾が「-A」となっている技術は、評価が行われていない段階の技術です。NETISには登録されているものの、公共工事での活用実績や評価結果が十分に蓄積されていない状態にあります。
「VE」:評価済みで、継続調査が不要とされた技術
末尾が「VE」となっている技術は、評価が完了し、継続的な調査を要しないと判断された技術です。公共工事での活用実績が一定程度蓄積され、効果や適用条件が整理されている技術が該当します。
ただし、VEであること自体が評価を保証するものではなく、あくまで当該工事における活用の妥当性が評価の前提となる点には注意が必要です。
「VR」:評価済みで、継続調査の対象となる技術
末尾が「VR」の技術は、評価が行われたうえで、引き続き調査や検証が必要とされている技術です。一定の有効性は確認されているものの、適用条件や効果のばらつきなどについて、追加的なデータの蓄積が必要とされています。
工事成績評定や新技術活用の評価を意識する場合には、施工後の効果をどのように整理・報告するかまで見据えた対応が必要になります。
NTEISを活用した入札戦略
仕様・設計・現場条件を踏まえた技術選定が重要
施工者がNETIS登録技術を選定・提案できる案件では、新技術の活用自体はもちろんですが、当該工事の仕様や設計内容、施工条件(施工場所、制約条件、施工時期等)、従来工法で想定される課題を踏まえたうえで、当該工事に適した新技術を選定できるかどうかが重要です。
NETIS登録技術を活用した技術提案では、「新技術を使うこと」自体が評価されるのではなく、その技術が当該工事の条件下で合理的に選択されているか、効果を説明できるかが評価の前提です。
例えば、施工の省力化や安全性向上といった効果であっても、工事内容や現場条件と結び付いていなければ、評価につながりにくくなります。
平素からの技術蓄積が入札時の比較優位につながる
NETISを活用したて入札に臨む場合、平素から自社の施工分野に合った新技術を把握し、計画的に活用していく姿勢が、入札時の比較優位につながります。
自社が多く手がける工種や工程において、現場適用しやすいNETIS登録技術を継続的に確認し、実際の工事で活用しておくことで、技術提案や施工計画の中で具体的な説明がしやすくなります。
こうした蓄積がある事業者は、入札のたびに一から技術を探す必要がなく、案件に応じた技術選定をスムーズに行うことができます。
また、評価が進んでいない技術であっても、現場条件との相性がよく、政策的なテーマ(省人化、安全性向上、維持管理の効率化など)に合致するものであれば、戦略的に活用する余地があります。
重要なのは、評価段階の高低ではなく、自社の施工条件の中で継続的に使える技術かどうかという視点です。
まとめ
NETIS(新技術情報提供システム)は、公共工事における新技術活用を進めるために、国土交通省が運用している情報提供の仕組みです。NETISに登録された技術は、総合評価落札方式や工事成績評定で評価される場合があり、入札や施工の検討において参考となる情報が整理されています。
実務においては、NETIS登録技術の情報収集はもちろん、自社が多く手がける工種や工程に着目し、活用しやすい技術を平素から整理しておくことで、入札時の検討を円滑に進めることができます。
入札のたびに技術を探すのではなく、自社の施工分野に合った新技術を平素から把握し、計画的に導入・蓄積していく姿勢が、入札時の比較優位につながります。
NETIS登録技術を総合評価落札方式の入札で提案していく場合は、発注者が過去の入札案件で新技術の活用をどのように評価しているかを分析しておくことが重要です。具体的には、過去の入札公告や特記仕様書、落札者のHPなどで新技術がどのように活用されたかを横断的に確認することが不可欠です。
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