「入札保証金」と「契約保証金」とは?必要金額や免除について解説

公開日: 更新日: #一般競争入札#指名競争#随意契約 「入札保証金」と「契約保証金」とは?必要金額や免除について解説
Point

  • 入札保証金とは、落札者が契約を締結しない場合のリスクを避けるためのもので、通常契約金額の5%以上が求められるが、代替手段もある。
  • 契約保証金は、受注者が契約を適切に履行することを保証するもので、納付後、契約を履行すると返還される。
  • 入札保証金は、落札して契約を締結した場合には返還されるが、契約を辞退した場合には返還されない。

官公庁の入札では、入札に参加するため「入札保証金」の納付を求められる場合があります。

入札保証金が求められる調達案件は予定価格が高額な場合が多く、保証金額も相当額になるので、入札保証金制度に関する知識は企業の担当者にとって不可欠です。

そこでこの記事では、入札保証金の内容や実際の取扱い等、企業の入札担当者にとって重要な情報を紹介します。

入札保証金とは?

入札保証金の目的

入札保証金とは、落札者となった者に対する「契約締結の保証」を求める手段です。
発注者が保証を求める理由は、入札を実施したにもかかわらず契約できないことを避けるためです。

入札保証金制度は主に以下の目的で実施されています。

  • 一定額の保証を事前に求めることで、契約の確実な履行が期待できない経営状況にある業者を入札から除外できる
  • 落札後の辞退を防ぎ、事業の早期執行を促す
  • 契約に至らない場合の再入札費用等に充当する

入札手続は相当の期間と事務手続きを経て行われるため、落札者が落札後に辞退して契約に至らないと、発注者にとって費やした事務経費及び時間について損失が生じます。また、事業の着手が遅れることで、発注者の事業計画にも負の影響を与えます。

そのため、入札参加者に対し落札後に契約締結する保証として一定の金銭を求めているのです。

落札後に契約に至らない場合とは?

落札後に契約に至らない場合の例として「入札価格に誤りがあり、契約を辞退する場合」が挙げられます。

全く採算の取れない安い価格で誤って入札し、指名停止等の処分を覚悟で辞退するケースがしばしば見られます。

その他の落札後に契約に至らない例として、「開札前に辞退する予定が、辞退申請の提出を失念し落札者となってしまったため契約を辞退する場合」や、「落札後に配置を予定していた技術者を欠くことが分かり契約を辞退する場合」などがあります。

入札保証金と契約保証金の違いは

入札保証金と似たものに「契約保証金」があります。
入札保証金が落札者に対する「契約締結の保証」を要求する性質であるのに対し、契約保証金は受注者に対する「契約履行の保証」を要求しているものです。

契約保証金は、契約金額に対して発注機関が定める割合の金額を、契約締結の前に納付する必要があります。

なお、契約を適切に履行することで、納付した契約保証金は発注機関から落札者に返還されます。

入札保証金の金額

入札保証金の金額は、発注者が国の場合は「契約金額の5%以上」となっています。
地方自治体が発注者の場合は、地方公共団体の規則で定めることとされており、3~5%程度の場合が多いです。

第29条の4 契約担当官等は、前条第一項、第三項又は第五項の規定(執筆者注:それぞれ一般競争入札、指名競争入札、随意契約の実施について規定)により競争に付そうとする場合においては、その競争に加わろうとする者をして、その者の見積る契約金額の百分の五以上の保証金を納めさせなければならない。ただし、その必要がないと認められる場合においては、政令の定めるところにより、その全部又は一部を納めさせないことができる。

引用:会計法

(一般競争入札の入札保証金)
第167条の7 普通地方公共団体は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加しようとする者をして当該普通地方公共団体の規則で定める率又は額の入札保証金を納めさせなければならない。

入札保証金以外の保証方法

入札保証金は、現金の納付以外の方法で保証を提供することも可能です。
ここでは、「入札ボンド」による方法と「入札保証金に代わる担保」を提供する方法を解説します。

引用:地方自治法施行令 (昭和二十二年政令第十六号)

入札ボンド制度

入札ボンドとは、金融機関や保証会社が公共工事の入札参加者に対して審査・与信を経て発行する契約保証のことです。

保証商品への申込みに係る金融機関等の審査の結果、入札参加予定者の経営状況や工事の施工能力によっては入札保証証書の発行を断られる場合もあり得えますが、契約履行能力が著しく劣る建設業者の排除できるなど、質の高い競争環境が期待できます。

具体的には、以下が入札ボンドに該当します

【納付の免除を受けられる入札ボンド】

  • 損害保険会社の入札保証保険
  • 金融機関・保証事業会社の契約保証の予約

【入札保証金の代わりの担保となるもの】

  • 金融機関の入札保証

入札保証保険とは、保険契約者(落札者)が落札後に契約を締結せず発注者に損害を与えた場合に、落札者に代わり保険会社が損害を保証する保険商品のことです。

契約保障の予約とは、「入札参加者が落札後に契約保証の申込みをしたとき、契約保証証書を交付すること」を入札前に約束する商品です。

金融機関による入札保証とは、入札参加者が落札後に必ず契約を締結し、またその経営状態等から契約締結・履行する能力がある旨等を金融機関が保証するものです。

「損害保険会社の入札保証保険」「金融機関・保証事業会社の契約保証の予約」は入札保証金が納付の免除の扱いになり、「金融機関の入札保証」は入札保証金の代わりの担保を提供した扱いになります。

入札保証金に代わる担保

国を発注者とする場合の入札保証について、現金の納付及び入札保証保険証書等の提出による納付の免除以外にも、上述の金融機関の入札保証のように代わる担保を提供する方法も認められています

入札保証金に代わる担保として、会計法及び予算決算及び会計令で認められている方法の例は、以下の通りです。

  • 国債
  • 政府の保証のある債券
  • 銀行、株式会社商工組合中央金庫、農林中央金庫又は全国を地区とする信用金庫連合会の発行する債券
  • 銀行が振り出し又は支払保証をした小切手
  • その他確実と認められる担保で財務大臣の定めるもの(公社債、社債、地方債、定期預金債権等)

なお、それぞれの債権等の評価方法は発注者ごとに規定があるので、確認するようにしてください。

入札保証金の取扱い

納付した入札保証金がどのように取り扱われることになるのでしょうか。ここでは、落札の有無、契約締結の有無、辞退・不参加の場合について解説します。

落札して契約を締結した場合

落札者となり、その後発注者と契約を締結した場合は「契約締結の保証」の目的が果たされるため、入札保証金は返還されます。

ただし、契約の履行について「契約保証金」の納付が必要な場合は、落札者の入札保証金を返還するのではなく契約保証金に充当することが一般的です。

落札して契約を締結しなかった場合

落札者となり、その後発注者と契約を締結しなかった場合、入札保証金は返還されず発注者の収入になります。

なお、落札後の契約辞退は「不誠実な行為」として、指名競争入札での指名停止措置がなされる場合があります。

入札したが落札できなかった場合

入札したものの落札できなかった場合、入札保証金は後日返還されます。

入札への参加を辞退した場合

入札参加資格審査申請し入札参加が認められたものの、最終的に参加を辞退した場合、入札保証金は後日返還されます。

まとめ

入札保証金は入札参加者に対して「契約締結の保証」として求める現金のことをいいます。
入札保証金の納付以外にも、保険会社・金融機関等による入札保証証書(入札ボンド)の提出や各種債権等の代わりの担保を提出する方法もあります。

経営の状況・規模に応じて適切な入札案件に参加していれば、入札保証金の用意や保険会社からの保証は問題ないことが予想されますが、不測の事態が生じて落札後に契約を辞退する場合は金銭的な負担が生じることに留意が必要です。

入札業務に関わる方にとっては入札保証金制度の内容はもちろんのこと、落札後の辞退が生じないよう自社内でチェック体制を構築することがおすすめです。

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