国会で予算が成立するスケジュールは?受注に向けたアクションも解説

国会で予算が成立するスケジュールは?受注に向けたアクションも解説

Point

  • 当初予算は例年3月末までに成立し、4月から6月頃に入札が本格化
  • 省庁内での制度設計を経てゴールデンウィーク前後から増える傾向
  • 補正予算は、年末前後に成立し2月から3月頃に入札が集中する傾向

官公庁案件への参入を考えるうえで、「国会で予算がいつ成立するのか」は重要な情報です。

国の当初予算や補正予算は、国会で成立したあと、制度設計や要領整備を経て、入札・公募として具体化されます。そのため、国会の予算審議や成立スケジュールを理解しておくことは、案件の動きを先読みするうえで欠かせません。

そこで、この記事では、国会で予算が成立するまでの流れや、当初予算・補正予算それぞれの基本的なスケジュールを整理し、予算成立から入札・公募が実施されるまでの実務的なタイミング、さらに年間を通じた行動の考え方を解説します。

官公庁案件への参入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

各年度の当初予算が国会で予算が成立するまでの流れ

国の当初予算は、政府が年末にまとめた「予算案」が、そのまま自動的に使えるわけではありません。
憲法の定めにより、国会での審議と議決を経て、はじめて予算として成立します。
ここでは、各年度の当初予算が国会で成立するまでの基本的な流れを解説します。

当初予算が国会で成立するまでの基本スケジュール

まず、前年度の秋以降に、各省庁が次年度当初予算案の中身を作成します。各種調査により業務量を見込み、これらを基に必要な予算額を積算します。

積算された予算額を基に財務省と予算折衝を行い、行政府としての案を内閣が閣議決定します。

この時点では、あくまで「政府案」であり、まだ執行できる予算ではありません。
年が明けると、通常国会が1月に召集され、政府はこの予算案を国会に提出します。通常国会の会期150日のうち、1月から3月までは当初予算審議が国会運営の中心です。

当初予算案の国会審議

衆議院での審議

予算案は、憲法第60条に基づき、まず衆議院で審議されるのが原則です。

衆議院では、まず衆議院本会議で議案(予算案)の説明と代表質問が行われます。

その後、審議が衆議院予算委員会に付託され、内閣総理大臣ほか閣僚が出席して質疑が行われます。
政策の方向性や予算配分の妥当性について、与野党間で集中的な議論がなされるのがこの段階です。

質疑終了後に委員会での採決を経て、再び衆議院本会議で採決が行われます。可決されると、予算案は参議院に送られます。

参議院での審議

参議院でも同様に、本会議や予算委員会で審議・採決が行われます。衆議院と参議院の両方で同じ内容が可決されれば、その時点で予算は正式に成立します。

仮に参議院で修正や否決があった場合でも、衆参両院協議会で調整が行われ、それでも一致しない場合には、衆議院の議決を国会の議決とする「衆議院の優越」が適用されます。

また、参議院が30日以内に議決しない場合も、衆議院の議決によって予算は成立します。

実務上は、こうした制度的背景から、まず予算案の衆議院での可決を2月中(新年度が始まる30日前まで)に行うことを目指し、3月末までの予算成立を確実なものにする政治的な駆け引きが行われます。
多くの場合では、前年度3月末までに新年度予算が成立します。

年度内に予算が成立することで、各省庁は予定どおり事業を開始でき、補助金や委託事業、入札案件の準備が本格化します。

補正予算が国会で成立するまでの流れ

補正予算が成立するための基本スケジュール

補正予算は、すでに成立した当初予算では対応しきれない事情の変化に対応するために追加で編成される予算です。

補正予算は、景気対策、物価高騰への対応、災害復旧、新型感染症対策など、年度途中で新たな財政支出が必要になった場合に編成されます。また、首相の交代・内閣改造等により新政府の政策方針を反映させるために編成される場合もあります。

当初予算と同様、補正予算も政府が予算案を作成し、国会での審議・議決を経てはじめて成立します。ただし、編成される時期や国会での扱われ方には特徴があります。

補正予算は、通常国会(1~6月)だけでなく、通常国会の会期外に臨時国会を召集し、その会期中に補正予算案が提出され審議が行われる場合もあります。

臨時国会では、補正予算が主要な審議案件となり、短期間で集中的に審議が進められるのが一般的です。国会での審議プロセス自体は、当初予算と同じく、衆議院での先議、予算委員会での質疑、本会議での採決を経て参議院に送付されます。参議院でも審議・採決が行われ、両院で可決されれば補正予算は成立します。

近年の補正予算成立状況

近年の補正予算の成立状況は以下のとおりです。ここ数年の事例を見ると、補正予算は年末前後に成立するケースが多いことが分かります。

予算 閣議決定日 予算成立
令和4年度補正予算 令和4年5月17日 令和4年5月31日
令和4年度第2次補正予算 令和4年11月8日 令和4年12月2日
令和5年度補正予算 令和5年11月10日 令和5年11月29日
令和6年度補正予算 令和6年11月29日 令和6年12月17日
令和7年度補正予算 令和7年11月28日 令和7年12月16日

予算成立から入札・公募実施までのスケジュール

国会で予算が成立したからといって、すぐに入札や公募が始まるわけではありません。
実務では、予算成立後に制度設計や仕様の確定を経て、はじめて入札案件として公示されます。
予算成立後の入札・公募の時期は、当初予算か補正予算か、国直轄事業か自治体実施事業かによって大きく異なります。予算成立のニュースだけを見て判断するのではなく、その後の制度設計や実施主体の違いを踏まえて、実際に案件が動き出すタイミングを見極めることが重要です。

予算成立後の発注準備

予算成立後、各省庁では、予算案の内容を実際の事業に制度化する作業が行われます。具体的には、事業制度の設計・実施要領の策定が該当します。

予算成立前は、事業の裏付けとなる予算が確定していない状況ですので、要綱等の正式な発出ができません。したがって、予算成立後には発注者側での準備事務が必ず発生しますので、予算成立後、即日入札公示されるケースはほとんどないと考えてよいでしょう。

当初予算に基づく事業の入札時期

当初予算に基づく事業の場合、通年事業では4月から6月頃に入札・公募が公示されるケースが多いのが一般的です。
年度開始直後は内部調整に時間を要するため、4月上旬に一斉に案件が出るわけではなく、ゴールデンウィーク前後から初夏にかけて案件が増えていく傾向があります。

補正予算に基づく事業の入札時期

補正予算に基づく事業では、早期の執行が求められることが多いため、制度設計が比較的短期間で進められ、2月から3月頃に入札・公募が集中するケースが見られます。

また、事業の内容によっては、当年度中に成立した補正予算でも、次年度へ繰り越して実施する場合もあります。

この場合は、前年度補正予算による事業の発注時期と、新年度当初予算による発注時期が年度当初に重なる場合もあります。

事業実施主体が都道府県・市区町村の場合

国の予算による事業であっても、実際に事業を行うのが都道府県や市区町村である場合が多くあります。こうしたケースでは、国が補助金・交付金等を自治体に交付し、各自治体が国の補助金を事業の原資(の一部)として事業を実施します。

この場合、事業主体での自治体では、国の予算成立後に国の制度設計を待ち、国が正式に要綱等を発出した後に、当該要綱に基づき制度の詳細を決定していきます。

そのため、国が直接事業を実施する場合よりも、予算成立から発注までの期間が長くなることがあります。

国会の予算成立スケジュールを踏まえたアクション計画

国会の予算編成・成立のスケジュールを踏まえると、官公庁案件の獲得にあたっては、以下のとおり活動することが効果的と考えられます。

1〜3月:国会審議で来年度当初予算の重点領域を把握する

通常国会前半では、当初予算案の審議を通じて、政府が重点的に取り組む政策分野が見えてきます。
この時期は営業活動よりも、国会質疑や報道から情報を整理し、自社が関与できそうな領域を見極めるフェーズです。

4〜6月:当初予算に基づく入札・公募案件を収集する

当初予算を前提とした事業の制度設計が進み、入札・公募案件が徐々に公示され始めます。
通年事業を中心に案件が増えるため、情報収集を強化し、対応可能な案件を選別することが重要です。

7〜9月:骨太方針・次年度概算要求をチェックし先回りする

夏に公表される骨太方針や概算要求から、次年度以降に重視される政策分野を把握できます。
この時期に情報を押さえておくことで、翌年度案件を見据えた準備や提案内容の整理が可能になります。

10〜12月:政府予算案と補正予算の動向をフォローする

政府予算案の編成が進み、報道を通じて次年度の全体像が明らかになります。
あわせて補正予算が編成される場合もあるため、年度内・年度末に動く案件を見逃さないよう注意が必要です。

国会予算審議の動向とチェックするための情報源と、NJSSで実務を効率化する方法

国会で予算審議が行われている期間は、各省庁の予算案や国会での議論を通じて、次に動き出す政策分野を把握できる重要なタイミングです。
具体的には、閣議決定された予算案や関連資料、予算委員会での質疑内容、報道による解説などをチェックすることで、今後発注が期待される事業の内容を読み取ることができます。

一方で、予算が成立した後は、各発注者によって入札や公募に関する情報が短期間に大量に公表されるため、すべてを個別に追うのは現実的ではありません。

そこで有効なのが、入札情報サービス NJSS(エヌジェス) の活用です。
NJSSを利用すれば、国や地方公共団体、外郭団体が実施する入札・公募情報を一元的に検索でき、予算成立後に動き出す案件情報の収集を効率化できます。

国会予算審議の動向から事業の方向性を把握し、具体的な案件情報はNJSSで集約して確認するという役割分担を行うことで、限られた時間の中でも官公庁案件への対応を着実に進めることが可能になります。

まとめ

国会における予算成立スケジュールを理解することで、官公庁案件が「いつ」「どのような流れで」動き出すのかを把握しやすくなります。当初予算や補正予算の成立時期、そこから入札・公募が公示されるまでの時間差を押さえておくことは、案件対応の精度を高めるうえで欠かせません。

一方で、予算成立後は、国や自治体から多数の入札・公募情報が短期間に公開されるため、効率的な情報収集が重要になります。国会や政府の動向を踏まえつつ、実際の案件情報を確実に捉える仕組みを持つことが、官公庁案件への継続的な参入につながります。

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