たった1つで4,000以上の機関に有効な「全省庁統一資格」とは? 申請方法から注意事項まで徹底解説

2021年07月28日

企業における新規開拓のための取り組みとして、近年、国や地方公共団体の案件への参画(官公庁入札)に注目が集まっています。官公庁の入札案件は年々増加傾向にあり、その市場規模はおよそ20兆円となっています。

また、公共機関に関わる業務は信用性が高く、規模の大きな案件も多数あります。そして官公庁入札の落札実績は、企業のイメージアップにもつながるというメリットがあります。

そこで本記事では、官公庁入札に必要な資格である「全省庁統一資格」の概要と、基本的な入札の流れについて解説していきます。

1.「全省庁統一資格」とは

1-1.全省庁統一資格とは

「全省庁統一資格」は、中央省庁をはじめとする国の機関や、一部の外郭団体の入札に共通する資格です。この資格一つで役務提供や物品購入に関する案件への入札が可能になるため、まずはこの「全省庁統一資格」を取得することがおすすめです。

なお、建築工事系の入札案件や地方公共団体の入札にあたっては、それぞれの発注機関が求める資格取得が必要です。

1-2.資格申請方法

「全省庁統一資格」は、必要書類の提出で取得が可能です。試験などを受ける必要はなく、費用も無料です。申請方法は、窓口持参・郵送・インターネットの3つがあります。

必要書類は、財務諸表(一年分)、登記事項証明書、納税証明書(※)です。場合によっては、このほかに委任状や外字届が求められることがあります。
※納税証明書のうち、「その3の3」(法人税と消費税及地方消費税)が必要

1-3.審査、取得

書類提出後に審査が行われ、後日、「資格審査結果通知書」が郵送されます。申請方法や時期によって異なりますが、申請から資格取得までは、数週間~数か月かかります。早ければ2週間ほどで取得できるケースもあります。

2.「全省庁統一資格」の入札に関する注意点

2-1.有効期限に注意

「全省庁統一資格」には有効期限があるため、入札の際には有効期限を確認しましょう。また、全省庁統一資格は、3年に一度「定期審査」があり、資格の有効期間は3年間です。

定期審査の受付期間に申請できなかった場合は、「随時審査」で資格を取得することが可能です。その場合、資格を取得した時点からその時期の定期審査の満了日までが有効期限となります。

2-2.入札ランクがある

「全省庁統一資格」を取得しても、すべての案件に入札できるわけではありません。資格審査の際に企業がランク分けされ、そのランクに応じて入札できる案件が異なります。

具体的には、年間平均(生産・販売)高、自己資本額の合計、流動比率、営業年数、機械設備などの額(物品の製造のみ)の各項目を点数化し、それを基に企業をA~Dの4つにランク分けされます。

ランクによって入札できる案件を制限することで、大企業と中小企業の競争を回避し、規模の小さな企業でも落札(受注)できるように配慮しています。

3.一般的な入札の流れ

ここからは、一般的な入札の流れを解説します。

3-1.資格の取得、情報収集

まずは、入札資格を取得しましょう。前述したように、国の機関の役務・物品購入関連の入札であれば「全省庁統一資格」を、建設工事や地方公共団体の案件であれば、それぞれの機関の入札資格の取得が必要となります。

そして、資格の取得と並行して、自社が受注可能な入札案件を探します。入札案件は、基本的に各発注機関のサイトに公示されています。

3-2.説明会の参加、仕様書の取得

次に、案件ごとに「仕様書」を取り寄せます。仕様書とは、案件内容やスケジュール、発注側の希望などが記載された書類です。この仕様書を確認して、入札の可否や入札額などを決定します。

また、案件によって説明会の実施や質問期間が設けられている場合があるので、参加して情報収集や不明点の確認を行いましょう。

3-3.入札、落札企業の決定

仕様書に基づいて、見積書や企画書など入札に必要な書類を準備し、入札を行います。入札方法には、「会場での入札」と「電子入札」の2種類があります。

会場での入札は、入札書に金額や社名などを記入し、それを専用の箱に入れて入札します。電子入札は、電子入札システムを使って、Web上で入札を行います。事前にPCやインターネット回線、ICカード、カードリーダーなどの準備及び設定が必要です。

入札期間終了後、発注機関は入札した企業のすべての書類を精査し、落札者(受注者)を決定します。落札者の決め方は基本的に、「発注機関があらかじめ設定しておいた予定価格の範囲内で、最も低い金額を提示した者が落札者」となります。

一方で、入札方式によっては、価格だけでなく、品質や安全性などの要素も合わせて落札者を決定する場合もあります。

情報収集が落札の可否を左右します

ここまで、「全省庁統一資格」の概要や取得方法、注意点、入札の流れについて解説してきました。全省庁統一資格は、国の機関の入札(役務・物品)だけでなく、一部の外郭団体の入札においても必要となります。そのため、取得すれば多くの機関の案件に入札することが可能です。

一方で、全省庁統一資格を活用したとしても、スムーズな入札ができないケースもあります。自社に最適な入札案件を探すためには、それぞれの発注機関のサイトをくまなくチェックすることに多くの時間を費やさなければならないためです。

こうした課題を解決する方法の一つとして「入札情報サービス」の活用が挙げられます。入札情報サービスとは、全国の発注機関の入札案件をWebサイトに集約・掲載するサービスのことです。こうしたサービスを活用することで、自社に最適な案件を探す時間を短縮できるようになります。

そして株式会社うるるでは、国内最大級の入札情報速報サービス「NJSS」を提供しています。NJSSでは、全国7,600を超える発注機関から情報を収集しており、年間200万件の案件をご確認いただくことができます。

また、落札会社や金額などの入札結果(落札情報)も掲載しています。これによって、ライバル企業の落札状況や案件の発生時期、落札相場などを分析・予測など、企業の入札業務の効率化や戦略立案にお役立ていただけます。8日間の無料トライアルも実施していますので、ぜひ一度お試しください。