- 官報は国の法令や公示を国民に知らせる公報
- 「公文」と「公告」に大別される
- 「公文」には法律や人事異動など、「公告」には入札公告や落札公告といった調達関連情報が含まれる
- 入札情報の中でも、WTO政府調達協定の対象案件が掲載される
官報は、国の法令や公示事項を国民に知らせるために発行される公報で、入札情報の公告も掲載される重要な情報源です。
国の省庁の入札公告は、予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第74条の規定で「官報、新聞紙、掲示その他の方法により公告しなければならない」とあり、官報に掲載することが例示されていますが、今日では各機関のホームページやデジタル庁所管の共同ポータル(調達ポータル)に掲載されることが一般的です。
現在では、いわゆる政府調達協定の対象となる調達案件が、官報の「政府調達」区分に掲載されています。
したがって、国や地方公共団体の入札に参加しようとする場合、官報だけを確認するのみでは十分ではありません。
本記事では、官報に掲載される入札情報の概要、官報以外での情報確認方法、そして入札情報の効率的な収集方法までを解説します。継続的に官公庁案件の受注を目指す方が、見逃しなく案件を把握できる体制づくりに役立つ内容です。
もくじ
官報とは?
官報は、国の機関が国民に広く周知すべき事項を掲載する「公報」です。法律・政令・省令・規則・告示など、各府省庁等が公布または公示する文書(公文)のほか、公告を含む多様な情報が収録されています。内閣府が所掌し、編集・発行事務は国立印刷局に委託されています。
掲載内容は大きく「公文」と「公告」に区分され、前者には法律・政令・条約・最高裁判所規則、行政機関の命令、告示、国会事項、人事異動などが含まれます。後者には、官庁・地方公共団体・特殊法人等による各種公告が含まれ、入札公告・落札公告といった調達関連情報も官報の掲載対象です。
官報は「本紙」「号外」等の種別に加え、政府の調達に関する公告をまとめた「号外政府調達公告」も発行されています。直近分は官報発行サイトで閲覧・ダウンロードが可能です。
官報は、行政機関の休日を除き毎日午前8時30分に発行されます。緊急時には「特別号外」が随時発行される運用です。
官報の閲覧は、公式の官報発行サイトで行うことができます。発行から原則90日間は全文を無料で閲覧可能で、90日経過後も(一部プライバシー配慮記事を除き)引き続き閲覧することができます。
また、国立印刷局の掲示場などでの掲示や、官報サービスセンター・図書館等の端末からの閲覧も可能です。
官報に掲載される入札情報
官報に掲載される入札情報は、WTO政府調達協定(いわゆる「政府調達」)の対象となる調達です。
官報により公告しなければならないことは、国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(昭和55年政令第300号)第5条に規定されています。
なお、政府調達に該当しない通常の一般競争入札等も予算決算及び会計令第74条の規定によれば官報に掲載することで公告することも可能ですが、こちらは調達ポータルなどインターネット上に公告文を掲載することが通例となっています。
官報に掲載される「政府調達」とは?
国や地方公共団体などが基準額以上の物品や役務の調達を行う場合、WTO(世界貿易機関)の「政府調達に関する協定」(Agreement on Government Procurement:略称GPA)の国際約束の適用対象となります。
この国際約束の対象となる調達が一般に「政府調達」と呼ばれています。
政府調達は国際協定(GPA)のルールに基づいて外国企業にも門戸を開き、透明性・公正性をより強く担保した調達です。外国企業を含む幅広い事業者が参加できるよう英語での公告がなされたり、一定期間の入札準備期間が確保されるほか、苦情申立てや紛争解決の手続も整備されます。
官報以外で入札情報を確認する方法
入札公告は、法律上は官報に掲載することでも行うことも可能です。しかし、実際には国の「調達ポータル」や各自治体の「電子入札システム」、各省庁・自治体のホームページ等に入札公告が掲載されています。
ここでは、発注者別に入札情報を確認する方法を解説します。
国の機関:調達ポータル・各府省のホームページ
国の入札公告のうち、「物品・役務」の入札公告は各府省庁統一のシステム「調達ポータル」に掲載されています。
公共工事の入札公告については、全府省庁統一のシステムはありません。そのため、各府省庁の入札関連のページを確認することが必要です。
地方自治体:各自治体の入札・契約情報のページ
都道府県・市区町村などの入札公告は、各自治体の入札・契約情報ページ(入札情報システムや契約課ページ等)に掲載されます。
上述の調達ポータルには掲載されないため、案件獲得を目指す自治体のページを定期的に確認することが必要です。
また、自治体によっては入札システムを複数の自治体で共同して運営している場合もあります。都道府県が代表して電子入札システムの構築・運用を担当し、当該都道府県内の自治体が当該システムを共同利用するパターンがよく見られます。(埼玉県、愛知県ほか)
有料の入札情報サービス
民間の企業・団体により、全国の省庁・自治体の入札情報を収集・データベース化しこれらを有料で提供するサービスがあります。
例えば、NJSS(入札情報速報サービス)では、全国の発注機関の入札情報を収集・データベース化し、条件検索や新着メール通知で確認できるサービスです。最近は、公示書・仕様書など添付資料の「資料内全文検索」にも対応し、キーワードの取りこぼしを抑えるアップデートが行われています。
入札情報収集の課題と効率的に収集する方法
入札情報の一次情報は、調達ポータル、各府省庁のホームページ、地方自治体の電子入札システム・ホームページなどに掲載され、政府調達案件は官報にも掲載されます。
各省庁・自治体が公表する一次情報で入札情報を確認することは、内容の信ぴょう性の観点などからメリットがあります。一方で、情報収集が非効率になりやすいデメリットもあります。
入札情報の収集が非効率になりやすい理由
各省庁・自治体の各ページでの入札情報の収集には効率の点で課題があります。
まず、発注機関による入札情報ページは、「自分たちの公告」しか掲載されませんので、国の省庁のほか複数の地方自治体をターゲットに入札に参加していく場合は、複数サイトにアクセスして情報収集する必要があります。
例えば、国の機関、所在地の都道府県、営業所周辺の市区町村に限定した場合も、5~10程度の機関のページにアクセスする必要があると考えられます。
さらに、入札公告等の情報は、あるタイミングで一斉に掲載されるものではなく、日々新着情報が更新されています。
入札参加に関する手続きは、入札公告の日から起算して所定の期間内に実施する必要があるため、「週に一度まとめて確認する」ではなく、日々のルーティンとして各機関のページにアクセスし情報をチェックする習慣を持つことが必要になってきます。
こうした事情から、入札に参加する発注機関が複数の場合や、参入可能な業務が多岐にわたる場合、情報収集の手間が膨大になってしまいます。
入札情報収集のコツ
継続的に官公庁案件を獲得していくためには、有料の入札情報サービスを活用することがおすすめです。
官公庁案件の獲得には調達案件情報を見逃さずに把握することが重要ですが、前述のとおり手間がかかり非効率になりがちです。
そのため、複数の発注機関のサイトを確認するのであれば、NJSSのような有料の入札情報サービスを利用することが有効です。
NJSSの特徴
全国の入札情報を一括検索・一元管理できる
NJSSの最大のメリットは、全国の官公庁・自治体・独立行政法人など、8,800以上の発注機関から公表されている入札情報を一括で検索できる点です。
発注機関ごとに分かれていた情報源を一つにまとめて確認できるため、複数の発注機関のサイトにアクセスする必要がありません。
また、エリア、業種、キーワード、公告日など多彩な条件で絞り込み検索が可能なため、自社に合った案件を短時間で見つけられるのも大きな利点です。
見逃しを防ぐ通知機能で、案件をタイムリーに把握
入札案件は公示から締切までの期間が短いため、情報のタイミングを逃すと参加の機会を失う可能性があります。一方で、毎日発注機関のサイトを確認することは大きな負担となります。
NJSSでは、あらかじめ設定した条件に合致する新着案件情報の有無を、毎日メールで配信する機能があります。
これにより、日々の業務に支障をきたすことなく、重要な案件を見逃すリスクを大幅に低減できます。
特に、限られた人員で入札対応を行っている中小企業や個人事業主にとっても、非常に有効な機能といえるでしょう。
まとめ
官報は、国の法令や公示事項に加えて、WTO政府調達協定(GPA)の対象となる調達公告などが掲載される国の公報です。
入札公告は法律の規定では官報に掲載して行うことも可能ですが、今日では利便性等の観点から各発注機関の電子入札システム・ホームページに掲載されることが一般的です。
一方で、入札公告など入札に関する一次情報は、発注機関ごとに掲載先や運用が分かれているため、複数のサイトに定期的にアクセスし、条件に合う案件の選別することは手間がかかり、見逃しのリスクも生じやすくなります。
そのため、継続的に官公庁案件の獲得を目指す場合は、一次情報の確認を前提にしつつ、横断検索と通知を活用した情報収集の効率化が有効です。
こうした入札情報のリサーチにおすすめなのがNJSSです。NJSSは、全国の国・地方公共団体・外郭団体による年間180万件以上の発注情報を検索することができます。これまでのように発注者ごとに分かれた入札システムにアクセスする手間を削減できます。
NJSSでは8日間の無料トライアルを実施していますので、ぜひこの機会に体験してみてください。
国内最大級の入札情報サイト
- 掲載機関数8,900以上
- 掲載案件数年間180万件以上
- 落札結果1,800万件以上