入札不調・入札不落とは?不落随契との違いについて解説

公開日: 更新日: #随意契約 入札不調・入札不落とは?不落随契との違いについて解説
Point

  • 入札不調とは、応札者がいないため落札者が決定しないこと。
  • 契約保証金は、受注者が契約を適切に履行することを保証するもので、納付後、契約を履行すると返還される。
  • 入札保証金は、落札して契約を締結した場合には返還されるが、契約を辞退した場合には返還されない。

「随意契約」は国や地方自治体が行う調達方式のうち、会計法や地方自治法等の関係法令に規定される要件を満たす場合にのみ認められるものです。

関係法令に規定される要件は、予定価格が小額の場合や購入先が特定されている場合等がありますが、「入札不調」となった場合も規定されています。

ただし、入札不調によって行われる随意契約(不落随契)は、通常の随意契約とは実施の背景が異なるため、企業の入札担当者はどういったものであるかを知っておくことが重要です。

そこでこの記事では、「入札不調」と、それに伴って実施される「随意契約(不落随契)」について解説します。企業の入札担当者にとって役に立つ記事ですので、是非最後までご覧ください。

入札不調とは

「入札不調」とは、一般競争入札及び指名競争入札において応札者がいないため開札されず落札者が決定しないことを言います。

入札不調になる原因

入札不調になる原因は、一般競争入札では参加者がいないこと、また指名競争入札では指名した業者が入札・開札前に入札を辞退してしまうことが原因です。

業者が入札に参加しない、または辞退する理由としては、以下の例が考えられます。

  • 入札公告を知らなかった
  • 参加したいが入札参加資格を満たさない/地域要件を限定し過ぎている
  • 履行期限までに業務を完了することが困難であった/履行期限が十分に確保できていない
  • 手持ちの受注済案件が多く、技術者や人員、機材を工面できない
  • 必要な技術者、作業員を配置できない/発注ロットが大きすぎる
  • 必要な資材、機材を確保できない/発注ロットが大きすぎる
  • 施工に必要な技術を有しない
  • 予定価格の範囲内では採算がとれないこと(予定価格が事前公表される場合)

発注者側が考える条件と、受注者側の諸条件がかみ合わない場合に、応札者が存在しない結果になります。
また、各業界の人手不足の状態や資材の供給状況も入札状況に影響すると考えられます。

入札不調と入札不落の違い

入札不調と似た言葉に「入札不落」があります。

「入札不落」とは、入札者がいたものの全ての入札者の入札価格が予定価格を超過し、落札されない(不落)ことを言います。

「入札不調」「入札不落」とも、結果的に落札者が決定しない点では共通ですが、その原因が異なるということです。

なお、発注者によっては「入札不調」を「入札不落」の意味を含めて使用している場合があります。

入札不調による随意契約(不落随契)とは

「入札不調による随意契約(不落随契)」とは、競争入札で入札する者がいなかったことを理由に随意契約を行うことを言います。

入札不調になった場合の対応

入札不調(または入札不落)になった場合も、その工事や物品調達の必要性がなくなる訳ではありませんので、発注者は引き続き契約締結先を選定する必要があります。

その後の対応は、発注者が捕捉する入札不調の原因によって、その後の対応が分かれます。
入札不調後の対応は、再度入札公告、改めての入札公告、不落随契があります。

再度入札公告

再度入札公告は、入札不調の原因が、入札公告の不知や仕様・設計図書等の説明不足にあり、仕様や予定価格を変更する必要ないと判断される場合等に行われます。(再度入札の場合、「契約保証金及び履行期限」以外の条件を変更することができません。)

再度入札公告の場合、公告から入札までの期間を3~5日まで短縮することが可能ですので、入札参加を検討する場合は公告情報を注意して確認する必要があります。

改めて新規に入札公告

改めて新規に入札公告を行う場合とは、必要な変更を行った後で改めて新規に入札公告を行うことです。
入札不調の原因が契約保証金及び履行期限以外にあり、これらを変更する必要がある場合です。具体的には、工事の内容や入札参加条件、予定価格を変更する場合等が該当します。

不落随契

不落随契とは「入札不調・不落による随意契約」を言います。

不調原因を調査しても「契約保証金及び履行期限」以外の条件を変更する必要がなく、かつ再度競争入札を実施しても応札者が極端に少ないと見込まれる場合や再度入札公告を行う期間がない場合の手段として、随意契約を行うことができます。

国の調達については予算決算及び会計令で、地方公共団体の調達については地方自治法施行令でそれぞれ不落随契が規定されています。

第99条の2 契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

引用:予算決算及び会計令 (昭和二十二年勅令第百六十五号)

第百六十七条の二(随意契約)

地方自治法第二百三十四条第二項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一~七 (略)
八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。
2 前項第八号の規定により随意契約による場合は、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争入札に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。

引用:地方自治法施行令 (昭和二十二年政令第十六号)

随意契約とは

随意契約は、入札をせずに発注機関が任意に特定の事業者を選んで契約する方法です。
国や地方公共団体の調達は公平性・公正性・経済性の観点から一般競争入札が原則ですので、随意契約は契約原則の例外とも言えます。
そのため、随意契約によることができる場合は、少額な契約などに限定されています。

詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

不落随契と通常の随意契約との違いは

入札不調による随意契約と通常の随意契約では、いくつかの要素で違いがあります。

仕様と予定価格が実勢に合っていない可能性がある

不調案件になった調達案件は、少なくとも「業者が入札参加を見送った」だけの理由が存在しています。

例えば、履行期限や仕様から「自社にあまり利益をもたらさない」と判断して参加を見送った企業の場合、仮に発注者から見積書の提出依頼があったとしても、請負者の適正な利益を含む見積額では予定価格を超えてしまう場合があります。

受注を目指し予定価格の範囲内になるよう見積もろうとすると、利益や必要な人員・資材を削ることが必要になり、事実上自社サービスの値下げをする必要が生じてしまいます。

発注者も、入札不調・入札不落になった場合は可能な範囲で原因を究明します。

しかし、不落随契に移行する場合、発注者は当初の入札から予定価格や仕様を変更することはできません

そのため、見積書を提出する企業はその案件を確実に履行できるか、必要な人員・資材を用意でき適正な利益を獲得できる案件かを慎重に判断することが必要です。

競争相手の有無は発注者の規定による

入札不調・入札不落による随意契約では、通常の随意契約と同様に発注者による見積書の徴取が行われます。
ただし、見積書徴取の方法は発注機関の規定により様々ですので、参加する発注者の規定を確認してみることをおすすめします。

入札不調を理由とする随意契約の場合、通常の随意契約と同様に複数の見積書徴取を規定している場合が見られます。
参加者がいない状況なので、通常の随意契約と同様に公正性・経済性を確保するために見積り合わせによる競争を行う場合があります

入札不落による随意契約の場合、見積書の徴取先は発注機関によってその態様は様々です。
具体例として、入札者のうち最低価格を提示したものから順に見積書を徴取する方法や、入札価格に対する予定価格の差が一定割合の入札者に対し一律に見積書を徴取する方法などがあります。

不落随契でも契約に至らない場合は

不落随契では、契約保証金及び履行期限以外の条件を変更するはできません。

そのため、不落随契でも契約に至らない場合は、発注者が入札の実施を一旦取りやめて、仕様や発注時期、入札参加者の要件等を見直し、改めて新規に入札公告を行うことになります。

まとめ

入札不調とは、一般競争入札及び指名競争入札において応札者がいないため開札されず落札者が決定しないことを言います。

入札不調(及び再度入札も不落)となった場合は随意契約とすることができ、これを不落随契と呼びます。

不落随契に参加する際は、仕様が確実に履行できるか否か、利益をもたらす契約条件であるか否かを慎重に検討する必要があります。
受注に向けて対応する場合は、不落随契はその経緯ゆえに競争相手が少ない場合があるので、積極的な内容で見積りを提案してもよいでしょう。

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