電子入札とは?公共入札初心者の方必見! これから始める“電子入札”入門ガイド

公開日: 更新日: #電子入札 電子入札とは?公共入札初心者の方必見! これから始める“電子入札”入門ガイド

このところ、公共入札において電子入札の導入が急速に進んでいます。
電子入札は入札業務の効率化を実現する一方、新たに公共入札に参入する事業者や、従来の紙による入札に慣れている事業者では、担当者の方に戸惑いが生じるケースもあります。
そこで本コラムでは、電子入札の概要や、従来の紙入札と比較した際のメリット、電子入札に参加する際の注意点などについて、詳しく解説していきます。

電子入札とは?

公共入札では、従来、紙による情報の公示や入開札が行われていました。
しかし、こうした手法は多くの事務手続きが発生することから、中央省庁や自治体など発注機関の職員に負荷がかかります。同様に、入札する側の事業者にとっても、発注機関までの移動コストなどの課題が生じていました。
こうした中、課題解消の一手として採用されたのが電子入札です。電子入札とは、従来の紙による入札と(制度上)同様の手続きを、PCを通じてオンラインで行えるようにしたものです。
インターネットをはじめ、国内のインフラが整備されたこと、法律面でも「公共入札及び契約の適正化の促進に関する法律 」が交付されるなど整備が進んだことにより、電子入札は2001年に国内で初めて中央省庁で導入されました。
自治体においても同年に神奈川県横須賀市で導入され、これを皮切りに全国の自治体に普及。2023年現在、中央省庁はもちろん全国の都道府県、指定都市で本格導入済みで、市区町村においても47.6%が本格導入済みとなっています。

電子入札のメリット

では、電子入札の導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは主な3つのメリットに絞って解説していきます。

発注機関の業務が効率化される

紙による入札では、発注機関は情報の取りまとめや共有などの事務手続きのために、多くのリソースを割く必要がありました。その点、電子入札は紙と比較して事務手続きの手間を大幅に削減することが可能です。
結果として、他の業務へのリソース提供が可能になることで、行政サービスの全体向上が期待できます。同様に、発注機関の人材不足解消対策としても効果的です。

入札事業者のコスト削減

紙による入札の場合、入札事業者には発注機関への移動や、書面の郵送などの経費負担が生じます。発注機関が遠方の場合、説明会などへの参加が難しいことから、案件自体には対応できるにも関わらず、入札を諦めなければならないようなケースもありました。
その点、電子入札では、入札はPCからオンラインでできる上、落札結果についてもインターネット上で確認できるなど、発注機関に出向く機会を最小限にすることができます。
このことから電子入札は、入札事業者にとっては移動・郵送コストを削減できることはもちろん、遠方においても入札が可能となることで、機会損失を最小化できるというメリットがあります。

手続きの公正化

従来の紙による入札では、説明会など入札事業者同士が顔を合わせる機会が多いことや、直接発注機関に出向かないと公示された情報が確認できないことから、談合などの不正が生じる懸念がありました。
その点、電子入札では、システムにより幅広く入札案件が公示されており、説明会などもオンラインで実施されるケースが多いことから、入札事業者同士が直接顔を合わせる機会は減少しています。
結果として、談合等の不正の抑止ができるなど、手続きの公正化にも効果を発揮しています。

電子入札の手続きで必要なもの

ここでは、電子入札を行うにあたり必要なものを紹介します(紙入札でも必要な書類等は除く)。

PC本体・モニター

PC本体は、Windows10またはWindows11のOSを搭載したもので、後述のICカードリーダーに接続するため、USBポートに1つ以上の空きが必要です。

ネットワーク環境

電子入札では、当然のことながら、PCを通じてインターネットに接続できる環境が求められます。

ICカード

入札書をはじめとする電子情報の本人確認のため、電子入札コアシステム対応の電子証明書=ICカードを購入する必要があります。ICカードは電子入札コアシステムに対応する認証局から購入できます。
価格は認証局ごとに、また有効期限によって異なりますが、一例として日本電子認証株式会社の場合は、有効期限1年で1枚16,500円、3年では42,900円、5年では66,000円となっています(※)。
(※)2024年5月時点

ICカードリーダー

PCに繋げてICカードを読み込むための機器です。こちらも認証局で購入することができ、一例として日本電子認証株式会社の場合は、1台9,900円で販売されています。

電子入札を活用する際の注意点

ここからは、実際に電子入札を活用して公共入札に参入する際の注意点を挙げていきます。

電子入札であっても参加資格の取得が必要

前述した通り、電子入札はあくまでも紙の入札手続きを電子化したものですので、入札参加資格の取得を省略できるものではありません
省庁への入札であれば、対応する等級の「全省庁統一資格」が、自治体であればそれぞれが定める参加資格の取得が求められます。
書類提出や審査にも時間がかかるので、案件が公示されてから資格を取得しようとしても間に合わないケースが多いです。自社に適した案件が出そうな自治体の資格は、余裕を持って申請しておくようにしましょう。

利用環境の準備が必要

電子入札では、当然ながら、インターネットに接続できる環境とPCが必要です。そして、どの電子入札システムでも、推奨環境が設定されていることに注意しましょう。
東京都の電子入札システムである「東京都電子調達システム」を例に挙げると、2024年5月現在の推奨環境は次のとおりです。

OS Windows 10 Windows 11
ブラウザ Internet Explorer 11(デスクトップ版) Microsoft Edge(Chromium版) Google Chrome
その他 A4用紙への印刷が可能なプリンタ  ※資格審査の受付票及び電子入札の入札書等の印刷に使用します。

この場合、近年シェア率を高めているAndroidやiOSを搭載しているタブレット、OS X (mac)のPCでは不具合が生じる可能性があるため、別途Windows OSのPCを用意することをおすすめします。
さらに、オンラインでの改ざんを防止するための認証制度として、「電子証明書」の取得も必要です。
公共入札用の電子証明書の取得は、電子入札システム対応の民間認証局を経由しなければならないため、こちらも時間に余裕を持っておきましょう。

自治体によってシステムが異なる

入札参加資格と同様、電子入札システムも自治体によって異なることに注意が必要です。
とはいえ、多くの都道府県では、その地域内の電子入札に対応した市区町村と連携して統一されたシステムを運用しています。そのため、同一都道府県内の案件に入札する場合には、さほど支障はないでしょう。

システムの一例:

  • 中央省庁:政府電子調達システム
  • 東京都:東京都電子調達システム
  • 神奈川県:かながわ電子入札共同システム
  • 埼玉県:埼玉県電子入札共同システム

なお、前述した電子証明書は、それぞれのシステムで登録する必要があります。

遠方の案件にも入札できるようになった分、案件探しは大変に!?

ここまで解説してきたように、電子入札にはいくつかの注意点があり、そのために手間がかかるものの、紙の入札と比較して入札事業者の業務効率を大幅に向上しました。
特に、発注機関まで出向かなくても、Webサイト経由で公示された案件の情報を確認できる点は、入札のハードルを大きく下げたと言えるでしょう。
一方、自社から離れた自治体の案件への入札も検討すべく、情報を幅広く収集しようとすると、日々更新される各自治体のWebサイトをくまなくチェックしなければならなくなることから、担当者の負荷は自然と大きくなり、情報の抜け漏れが生じがちです。
こうした課題を解消するためのツールとして、最近では中央省庁や自治体の案件情報がまとめられた「入札情報速報サービス」が注目されています。
電子入札で生まれるメリットを最大限に活かしたいという方は、ぜひ試してみてください。

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