入札公告とは?入札における「公告」「公示」「告示」の違いを解説
公開日: 更新日: #一般競争入札- 公告とは、国や地方自治体が入札の実施を広く知らせる行為
- 公示とは、特定の手続き形式を示さず広く知らせる行為
- 告示とは、行政機関の長が公示するために発する公文書形式
入札公告とは、国や地方自治体が入札を実施することを広く知らせる行為です。
入札公告は、入札に参加するための必要な事項が記載されており、官公庁案件の受注を目指す企業の担当者にとって重要な情報です。
そこでこの記事では、入札担当者が知っておきたい「入札公告」について解説していきます。
入札担当者は入札公告がどういったものであるのか、入札公告の後にどういったアクションを起こすべきかを知っておきましょう。
もくじ
入札公告(公示・告示)とは
入札公告とは、入札の実施を不特定多数の者に広く知らせる行為です。
官報や公報(県報や市報等)、庁舎掲示板への掲示、ホームページに掲載する方法等で行われています。
入札公告で示す事項は、予算決算及び会計令で以下の事項とされています。
- 競争入札に付する事項
- 競争に参加する者に必要な資格に関する事項
- 契約条項を示す場所
- 競争執行の場所及び日時
- 入札保証金に関する事項
競争入札に付する事項
「競争入札に付する事項」は、案件の名称、仕様、履行期限(期間)、履行場所等が記載されています。
仕様について不明な事項がある場合は、所定の方法にて発注者に質問しておくことがおすすめです。
契約後に受注者と発注者で記載事項の認識に相違があると、トラブルの原因となるためです。
競争に参加する者に必要な資格に関する事項
「競争に参加する者に必要な資格に関する事項 」には、入札参加資格における業種区分や、本店の所在地、参加資格名簿における等級(格付)、納入・受託実績等に関する条件が記載されています。
契約条項を示す場所
「契約条項を示す場所」とは、落札後に締結する契約書の内容を事前に閲覧できる場所であり、基本的に発注機関の部署が記載されています。
電子入札のシステムを有する発注者やホームページ上で公告を行う場合、システムやホームページが指定されている場合もあります。
また、当該項目中に入札説明書、仕様書の閲覧方法が記載されている場合もあります。
競争執行の場所及び日時
入札開始日時及び締切日時、開札予定日時、開札場所、立会の要否等が記載されています
開札場所は例外的に紙入札を行う場合にチェックしておくべき項目で、近年はシステム上での電子入札が一般的で立会が不要の場合も多いです。
入札保証金に関する事項
入札保証金や契約保証金の有無や金額、納付方法等が記載されています。
その他の事項
上記のほか、仕様に関する質問受付方法、再度入札の方法、契約書作成に関する事項等が併せて記載されていることがあります。
入札公告の種類(入札公示・入札告示との違い)
国や地方公共団体が入札の実施を知らせる行為について、「入札公告」以外に「入札公示」や「入札告示」といった表現も見られます。
ここでは、これらの違いを解説します。
入札公告
「入札公告」とは、国や地方公共団体及びこれらの外郭団体が行う一般競争入札を告知することです。
国が行う入札の根拠である会計法、予算決算及び会計令や、同じく地方公共団体の根拠である地方自治法及び地方自治法施行令では、一般競争入札を告知について「公告」の文言が使用されています。
契約担当官等は、入札の方法により一般競争に付そうとするときは、その入札期日の前日から起算して少なくとも十日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法により公告しなければならない。ただし、急を要する場合においては、その期間を五日までに短縮することができる。
普通地方公共団体の長は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加する者に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならない。
入札公示
「入札公示」は、公募型指名競争入札や公募型競争入札(プロポーザル)の実施を知らせる際に、官報等で見られる表現です。
公募型指名競争入札は指名競争入札の一種、公募型競争入札は随意契約の一種です。
指名競争入札と随意契約は、前述の会計法等で公告する旨の規定がありません。
(指名競争入札は指名業者への指名通知、随意契約は適当な業者から見積書を徴取するため)
そのため、法律に基づく一般競争入札の告知を表す記述である「公告」と区別するため、入札「公示」とされています。
なお、「公示」は特定の手続き形式をいうものではなく、広く知らせる行為そのものであり、様々な法律で決定事項を広く知らせる行為を示す表現として用いられています。
入札告示
一般競争入札の実施を知らせることについて、会計法等の法律では「公告」が使用されていますが、自治体によっては各自治体の公用文規定などによって入札の公告を「告示」の形式としている場合があります。
そもそも公示・告示・公告の違いは?
入札公告のほか、入札公示及び入札告示の表現も用いられる場合があることを紹介しましたが、「公示」「告示」「公告」の違いや使い分けはどうなっているのでしょうか。
公示
「公示」を理解するために、国家行政組織法の条文を見ると理解しやすいです。
以下は、各省大臣等の権限を定めた国家行政組織法第14条の条文の引用です。
第十四条 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。
行政機関の長は「公示を必要とする場合に、告示を発することができる」とありますので、ここでの「公示」は「公の機関が特定の内容について一般国民が知り得る状態に置く行為」を表した名詞(動作名詞)であることがわかります。
したがって、手続や公文書の形式として「公示」というものがある訳ではないのです。実際に、多くの法律で「公の機関が広く一般に知らせる行為」として「公示」の文言が使用されています。
一方で「告示」は、上述の国家行政組織法第14条の規定のとおり、行政機関の長がその機関の所掌事務について公示を必要とする場合に発するもので、公示するための公文書形式の一つです。(詳細は後述)
告示は一般に官報に掲載する方法で「公示」されます。
(法律に規定された「公示」の例)
- 意思表示にあたり表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときの公示。※裁判所による掲示場への掲示及び官報掲載(民法)
- 指定小児慢性特定疾病医療機関の指定をしたときの都道府県知事による公示(児童福祉法)
- 道路認定の公示(道路法)
公示の例としてよく見られるものが、日本国憲法に規定される天皇の国事行為の「国会議員の総選挙の施行公示」と地価公示法に規定される「地価の公示」です。
しかし、「公示」が「これら2つのみに使用されている」という説明は、上述のとおり正確ではありません。「公示」は特定の手続き形式をいうものではなく、実際に多くの法令で広く知らせる行為を意味する名詞(動作名詞)として使用されています。
先ほどの例でいうと、「国会議員の総選挙の施行」の公示は官報に詔書(天皇の意思表示に係る公文書)を掲載する方法で行われています。また、「地価の公示」は官報に官庁報告として地価を判定したこと旨を掲載することで行われています。
他にも、上述の道路法に基づく道路認定の公示は、多くの自治体で自治体公報に告示を掲載することで行われています。
出典:令和3年10月19日 官報本紙
出典:令和6年3月27日 官報号外
告示
「告示」は国家行政組織法第14条第1項等の規定に基づき、行政機関の長が、その機関の所掌事務について公示を必要とする場合に発するもので、公示するための公文書形式の一つです。
地方自治体においても、各自治体の公用文規則等によって公示の方法として規定されています。
告示は、官報・公報に掲載する方法や庁舎掲示板に掲示する方法で公示されます。
告示の法的な性質はさまざまであり、単に事実を公示するための手段としての告示、処分の効果発生要件としての告示、いわゆる法規たる性質を有する告示など多種多様なものがあります。例えば、入札公告を告示の形式で行う場合は「単に事実を公示するための手段としての告示」に該当します。
法律では「公示」の文言が用いられている事項を「告示」の形式で行う場合もあります。
公告
「公告」は、国・地方公共団体や企業などの私人が法令の規定に基づいて告示の形式によらず「広く世の中に告げ知らせることを言います。主に官報や日刊新聞紙への掲載、掲示の方法によって行われます。
公告の性質は、以下の3つに分けられるとされています。
① 利害関係人の権利関係を適切に調整するためのもの ( 法定公示 ・ 公告に伴って権利関係の変動が生ずるもの)
② 所在等が不明な者に対する通知手段のためのもの
③ 一定の事実等を国民又は利害関係人に周知するためのもの
法令に規定された公告の例として、以下のものが挙げられます。
- 土地区画整理事業の換地処分の公告(地方自治法施行令)
- 建設業者に対する監督処分の公告(建設業法)
- 建築協定の申請、認可の公告(建築基準法)
- 一時保護した児童の所有物に関し返還請求権を有する者を知ることができないとき、又はその者の所在を知ることができないときの公告(児童福祉法)
- 入札の公告(会計法、予算決算及び会計令、地方自治法施行令)
- 株式会社における貸借対照表の公告(会社法)
地方自治体においては、各自治体の規則で告示と公告の定義が規定されている場合があります。
例えば、入札公告を告示の形式で行っている埼玉県さいたま市のさいたま市公文例規程第2条(3)では、次のように定義されています。
第2条 この訓令において「公文書」とは、次に掲げるもののほか、職員がその職務権限に基づいて作成する文書及び図画をいう。
(1)~(2) (略)
(3) 公示文書 次に掲げるものについて作成する文書
ア 告示 法令等の規定又は権限に基づいて処分し、又は決定した事項その他一定の事項を管内一般又はその一部に公示するもの
イ 公告 法令等の規定によらない一定の事実を管内一般又はその一部に公示するもの
さいたま市の場合、「法令の規定に基づいて」決定した事項を管内一般に公示する場合は「告示」とすることになっています。
そのため、地方自治法施行令の規定に基づき行う入札公告は、告示の形式とすることになるのです。
第百六十七条の六 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加する者に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならない。
入札の公告期間とは?
入札における公告期間とは、「公告から入札期日まで」の期間を言います。
国の入札について規定されている予算決算及び会計令では入札期日の前日から起算して少なくとも10日前には公告しなければならない旨が規定されています。
第七十四条 契約担当官等は、入札の方法により一般競争に付そうとするときは、その入札期日の前日から起算して少なくとも十日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法により公告しなければならない。ただし、急を要する場合においては、その期間を五日までに短縮することができる。
公告期間が長ければ、発注者にとって入札に参加する事業者が増えることが期待できます。入札を実施したものの参加者が存在せず開札されない「入札不調」を避けることにつながります。
ただし、災害復旧工事など急を要する調達案件は公告期間を可能な限り短く設定する場合もあるので、入札参加を検討する場合は入札までの期間をしっかりと確認しておくことが必要です。
入札公告時に公表される資料は?
入札公告では、応札者が入札額を見積るために必要な資料が添付されています。
具体例として、以下の資料が挙げられます。
- 仕様書
- 案件概要書・入札説明書
- 設計図書(建設工事の場合)
- 各種様式
入札公告の後は何をすれば良いのか
入札公告で仕様や履行期限等を確認した後は、入札の準備をします。
一般競争入札の場合、当該案件の入札参加資格審査を申請する必要があります。
参加資格ありと認められた後は、受注内容の履行に向けて、必要な人員・材料を確保する見通しを立てておくことが重要です。
履行に要する経費が明らかにしたうえで、入札価格を検討していきましょう。
入札公告(公告・告示)を知る方法は?
省庁が行う一般競争入札の公告は官報に掲載されるほか、物品役務の調達は「調達ポータル」、国交省発注の工事等は「入札情報サービス(統合PPI)」に公告が掲載されます。
また、地方自治体の公告は、公報やホームページ、独自の入札システム・ポータルサイトがある場合は当該システム・ポータルサイトに掲載されます。
したがって、落札を目的に入札公告を知るためには、発注機関ごとに異なる媒体・サイトを定期的にチェックしておくことが必要です。
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まとめ
入札公告(入札公示・入札告示)は入札の実施を一般に広く知らせることです。一般競争入札に付す内容や入札の方法などが掲載されており、官公庁案件を獲得したい企業の担当者にとって重要な情報です。
入札公告は発注機関ごとに公告の方法・媒体が異なるため、自社の業務内容や業務エリアの範囲次第では相当数の媒体を定期的にチェックする必要があります。
入札公告をはじめとした入札案件の情報収集を効率化したい場合は、NJSS(入札情報速報サービス)の活用を検討してみることがおすすめです。8日間の無料トライアルがありますので、是非一度、試してみてください。
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