全省庁統一資格でチャンスを掴もう! 資格の概要から等級の仕組みまで、徹底解説

公開日: 更新日: #全省庁統一資格 全省庁統一資格でチャンスを掴もう! 資格の概要から等級の仕組みまで、徹底解説
Point

  • 全省庁統一資格の導入で入札への参入ハードルが大きく下がった
  • 申請事業者の規模や実績に応じてAからDランクまでの等級に振り分けられる
  • 入札できるのは原則、振り分けられた等級の案件
  • 等級の振り分け方法は「物品の製造」か「物品の販売・役務の提供・物品の買受」によってことなる
  • 4~5つの評価要素がありその点数の合計点で振り分けられる

公共入札において、企業が参加するために必要な資格の一つが全省庁統一資格です。
全省庁統一資格は、その名のとおり、すべての省庁に共通する入札資格ですが、取得 すれば省庁の全案件に入札できるわけではない点に注意が必要です。
同資格の取得時、申請事業者は規模や実績に応じてAからDランクまでの等級に振り分けられます。申請事業者が入札できるのは原則として、その等級の案件となります。
本コラムでは、そんな全省庁統一資格の等級振り分けの仕組みについて、詳しく解説していきます。

全省庁統一資格の概要

全省庁統一資格は、各省庁が発注する入札案件に参加するための資格です。
従来、省庁の案件に入札する企業は、各省ごとに異なる審査基準を通過する必要がありましたが、全省庁統一資格の導入以降は審査基準が統一され、入札に参入する企業のハードルが大きく下がりました
全省庁統一資格の有効範囲や申請方法について、より詳しく知りたい方は下記のコラムをご一読ください。以下、本コラムでは同資格の等級振り分けの仕組みをクローズアップして解説します。

全省庁統一資格の等級分け要素

全省庁統一資格の申請事業者は、規模や実績に基づいてAからDランクまでの等級に振り分けられます。
その算出方法は、事業者の提供する内容が「物品の製造」か「物品の販売・役務の提供・物品の買受」かによって少し異なります。
まずは、「物品の製造」で資格を申請する際の等級分けの仕組みについて紹介していきます。

「物品の製造」の評価要素

「物品の製造」の等級分けでは5つの要素が評価対象(点数制)となっており、その合算点(最大100点)で等級が決まります。
各要素の評価点は、次のとおりです。

年間平均生産・販売高(前2カ年の平均実績高)

直前々年度分の決算と、直前年度分の決算における製造・販売等実績を記載した上で、その平均実績高を算出します。点数は平均実績高をもとに振り分けられます。

200億円以上 60点
200億円未満 100億円以上 55点
100億円未満 50億円以上 50点
50億円未満 25億円以上 45点
25億円未満 10億円以上 40点
10億円未満 5億円以上 35点
5億円未満 2.5億円以上 30点
2.5億円未満 1億円以上 25点
1億円未満 5000万円以上 20点
5000万円未満 2500万円以上 15点
25000万円未満 10点

②自己資本額の合計

払込資本金の額(うち外国資本の額)、準備金・積立金の額、次期繰越利益(欠損金)の額を記載した上で、その合計額を記載します。点数は合計額をもとに振り分けられます。

10億円以上 10点
10億円未満 1億円以上 8点
1億円未満 1000万円以上 6点
1000万円未満 100万円以上 4点
100万円未満 2点

③流動比率

流動資産の額と流動負債の額を記載した上で、流動比率を算出します。流動比率が高いほど、点数も高くなります。

④営業年数

法人成立の年月日や、個人の創立年月日などをもとに満営業年数を算出します。休業期間がある場合には、営業年数から差し引く必要があります。

20年以上 5点
20年未満 10年以上 4点
10年未満 3点

⑤設備の額

貸借対照表の有形固定資産より、機械装置類の額、運搬具類の額、工具その他の額を記載した上で、その合計額を算出します。点数は合計額をもとに振り分けられます。

10億円以上 15点
10億円未満 1億円以上 12点
1億円未満 5000万円以上 9点
5000万円未満 1000万円以上 6点
1000万円未満 3点

「物品の販売・役務の提供・物品の買受け」の評価要素

次に「物品の販売・役務の提供・物品の買受け」の等級分けの仕組みを解説します。
「物品の製造」では評価要素は5つでしたが、「物品の販売・役務の提供・物品の買受け」の場合は4つとなります。各評価要素は先述した「物品の製造」とほぼ同様ですが、振り分けられる点数が異なるため注意しましょう。

①年間平均生産・販売高(前2カ年の平均実績高)

200億円以上 65点
200億円未満 100億円以上 60点
100億円未満 50億円以上 55点
50億円未満 25億円以上 50点
25億円未満 10億円以上 45点
10億円未満 5億円以上 40点
5億円未満 2.5億円以上 35点
2.5億円未満 1億円以上 30点
1億円未満 5000万円以上 25点
5000万円未満 2500万円以上 20点
25000万円未満 15点

②自己資本額の合計

10億円以上 15点
10億円未満 1億円以上 12点
1億円未満 1000万円以上 9点
1000万円未満 100万円以上 6点
100万円未満 3点

③流動比率

140%以上 10点
140%未満 120%以上 8点
120%未満 100%以上 6点
100%未満 4点

④営業年数

20年以上 10点
20年未満 10年以上 8点
10年未満 6点

参考:https://www.p-portal.go.jp/pps-web-biz/geps-chotatujoho/resources/app/html/KOUJI.html

合計点がわかったら、自社の等級をチェックしよう

前述の通り、全省庁統一資格の等級は、各評価要素の点数を合算した合計点から求められます。
「物品の製造」であれば①〜⑤の合計点、「物品の販売・役務の提供・物品の買受け」であれば①〜④の合計点を算出しましょう。
算出された合計点をもとに、下記のうち自社が該当する表で、等級を確認することができます。

物品の製造

付与点数 等級 予定価格の範囲
90点以上 A 3000万円以上
80点以上 90点未満 B 2000万円以上 3000万円未満
55点以上 80点未満 C 400万円以上 2000万円未満
55点未満 D 400万円未満

物品の販売、役務の提供等

付与点数 等級 予定価格の範囲
90点以上 A 3000万円以上
80点以上 90点未満 B 1500万円以上 3000万円未満
55点以上 80点未満 C 300万円以上 1500万円未満
55点未満 D 300万円未満

物品の買受け

付与点数 等級 予定価格の範囲
70点以上 A 1000万円以上
50点以上 70点未満 B 200万円以上 1000万円未満
50点未満 C 200万円未満

全省庁統一資格の等級を考える上での注意点

全省庁統一資格では、原則、取得した等級以外の入札はできません
ただし、統一資格に基づき実際に調達を行う際には、適正な競争性を確保するため、例外的に他の等級の競争参加が可能となるような、弾力的な競争参加を認める場合があります。
また、平成12年10月に行われた「政府調達(公共工事を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定」においても、「物品の製造」「物品の販売」「役務の提供等」に関する入札については、中小企業者等が、参加しようとする入札物件等の分野における技術力等を証明できれば、保有している入札参加資格の等級(ランク)や過去の納入実績にかかわらず、すべての国等の入札へ参加できることが示されています。
そのため、公示された情報(等級)だけをもとに入札の可否を判断するのではなく、自信を持っているジャンルであれば、発注機関に問い合わせしてみることをおすすめします。

案件探しは、等級別に絞り込むのが効果的

ここまで、全省庁統一資格の等級振り分けの仕組みについて解説してきました。
案件で求められる等級は、Webサイト上で公示されたページに記載されているため、新規案件を確認する際には必ずチェックするようにしましょう。
しかし、公示されたすべての案件をチェックしようとすると、自社の業務範囲外の情報や、別等級の情報も収集してしまうなど、案件探しが煩雑になってしまいます。
そこで活用したいのが「入札情報速報サービス」です。こうしたサービスでは、省庁や自治体がWebサイト上で公示している案件情報を、キーワードや等級から絞り込むことができるため、効率の良い情報収集が可能です。情報収集の時間を十分に取ることができない担当者の方は、入札情報速報サービスを活用してみましょう。
また、本コラムで紹介した内容が1ページでわかる「ランクチェックシート」もご用意いたしましたので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

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