経営事項審査の点数とは?点数の目安や点数をアップさせるコツをご紹介!

公開日: 更新日: #経営事項審査 経営事項審査の点数とは?点数の目安や点数をアップさせるコツをご紹介!
Point

  • 経営事項審査(経審)は公共事業参加資格の評価に重要で、点数が高いほど有利
  • 点数向上には、財務健全性の強化、技術力の向上、実績の積み上げが必要
  • 最新の法改正や業界動向に対応し、持続可能な取り組みを進めることが重要
  • 成功事例を参考に、具体的な改善策を実施することで、点数の向上が期待できる

公共入札に参加する企業にとって、「経営事項審査(経審)」は避けて通れない重要なプロセスです。この記事では、経営事項審査の点数について詳しく解説し、点数の目安やアップさせるための具体的なコツをご紹介します。

もくじ

経営事項審査の基礎知識

経営事項審査(経審)は、公共事業の入札に参加する企業が受ける審査の一つで、企業の経営状況、技術力、実績などを総合的に評価する制度です。経審の結果として得られる点数は、入札時の評価基準の一部として用いられ、企業が公共事業を受注するための重要な指標となります。

経審の定義と目的

経審の目的は、企業の健全性や技術的能力を客観的に評価し、適切な企業が公共事業を担うようにすることです。これにより、公共事業の質と信頼性を維持し、公共の利益を保護します。

誰が経審を受けるのか

経審は、主に建設業などの公共事業を請け負う企業が対象となります。これらの企業は、毎年または一定期間ごとに経審を受け、その結果を更新する必要があります。

経審の対象となる業種

経審は、特定の業種に対して行われるもので、以下のような業種が対象となります。

建設業

建設業は経審の主要な対象業種です。建設業に従事する企業は、公共事業の入札に参加するために、経審を受けることが義務付けられています。これには、建築工事、土木工事、設備工事など、さまざまな分野が含まれます。

その他の業種

建設業以外にも、特定の業種において経審が求められることがあります。例えば、公共施設の維持管理、清掃業務、造園業なども経審の対象となる場合があります。これらの業種に従事する企業も、経審の点数を基に公共事業の入札に参加します。

経審の重要性

経審は、単なる評価制度にとどまらず、企業の経営戦略や成長計画に大きな影響を与えます。高い経審点数を獲得することで、公共事業の受注機会が増え、企業の信頼性と競争力が向上します。逆に、低い点数は入札の機会を減少させる可能性があるため、企業にとっては非常に重要な審査となります。

経営事項審査の点数とは?

経営事項審査(経審)の点数は、企業の総合力を評価するためにいくつかの要素に基づいて算出されます。これらの要素は、企業の財務状況、技術力、実績などを反映し、総合的な評価点としてまとめられます。

経営状況分析(Y点)

Y点は、企業の財務状況や経営の健全性を評価するための点数です。具体的には、以下のような指標が考慮されます。

  • 売上高
  • 経常利益
  • 自己資本比率
  • 流動比率
    これらの指標を基に、企業の経営状態がどれだけ安定しているかを評価します。健全な財務状況は高いY点に繋がります。

経営規模(X点)

X点は、企業の規模を評価する点数で、主に以下の要素が含まれます。

  • 従業員数
  • 資本金
  • 事業規模
    大規模な企業ほど高いX点を獲得しやすくなります。これは、規模の大きさが安定性や信頼性の一因と見なされるためです。

技術力(Z点)

Z点は、企業の技術力を評価するための点数です。主な評価項目は以下の通りです。

  • 技術者の資格と人数
  • 保有技術や特許
  • 技術者の経験年数
    高度な技術を持つ企業や、技術者の質・量が優れている企業は、高いZ点を得ることができます。

実績(W点)

W点は、企業の過去の実績を評価する点数です。具体的には、以下の要素が考慮されます。

  • 過去の工事実績
  • 完成工事高
  • 工事の種類と規模
    実績の豊富な企業や大規模なプロジェクトを成功させた企業は、高いW点を得ることができます。

その他の要素(P点など)

その他の評価要素として、P点などがあり、企業の社会的信用や環境への取り組みなどが含まれる場合があります。これには以下のような項目が含まれます。

  • ISO認証の取得
  • 環境保護活動
  • 地域社会への貢献

点数の算出方法

経営事項審査の点数は、各要素の点数を総合して算出されます。具体的な計算方法は以下の通りです。

各要素の点数の加算方法

各評価項目(Y点、X点、Z点、W点)の点数をそれぞれ算出します。
これらの点数を加算して総合点を求めます。

点数の総合評価

総合点は、経審の最終評価点となります。
公共事業の入札において、この総合点が企業の評価基準として用いられます。
例えば、ある企業がY点で80点、X点で70点、Z点で90点、W点で85点を獲得した場合、総合点は325点となります。この点数を基に、企業の入札参加資格や競争力が評価されます。

経営事項審査の点数の目安

点数の分布と評価基準

経営事項審査(経審)の点数は、企業の公共事業における評価を客観的に示すための重要な指標です。この点数は、各企業がどの程度の評価を受けているかを示すものであり、公共事業の受注に大きな影響を与えます。以下に、点数の分布と一般的な評価基準について説明します。

高評価の基準

高評価の基準は業種や地域によって異なる場合がありますが、一般的には以下のような点数が高評価とされます。

  • 総合点数が800点以上:非常に高い評価を受けている企業。公共事業の入札で非常に有利な立場に立つことができます。
  • 総合点数が700点~799点:高い評価を受けている企業。入札で優位性があり、多くの公共事業に参加できる可能性が高いです。

一般的な点数の範囲

多くの企業が取得する点数の範囲は以下の通りです。

  • 総合点数が600点~699点:平均以上の評価を受けている企業。この範囲の点数でも多くの公共事業に参加可能です。
  • 総合点数が500点~599点:平均的な評価を受けている企業。公共事業の入札に参加できますが、競争が激しい場合には不利になることもあります。

低評価の基準

低評価とされる点数は以下の通りです。

  • 総合点数が500点未満:評価が低い企業。公共事業の入札で不利な立場に立つことが多く、点数の改善が求められます。

業界ごとの点数の目安

経審の点数は業界ごとに異なる基準が設けられていることがあります。ここでは、建設業を中心にその他の業種の点数目安についても説明します。

建設業の場合

建設業は経審の主要な対象業種であり、多くの企業が高い点数を目指しています。

  • 大型建設企業:総合点数が700点以上であれば高評価。800点以上であれば非常に有利。
  • 中小建設企業:総合点数が600点~699点であれば平均以上の評価。700点以上であれば高評価。

その他の業種の場合

建設業以外の業種でも、経審の点数は公共事業の受注に重要な役割を果たします。

  • 清掃業務:総合点数が600点以上であれば高評価。700点以上であれば非常に有利。
  • 造園業:総合点数が600点以上であれば高評価。700点以上であれば非常に有利。
    施設管理業務:総合点数が600点以上であれば高評価。700点以上であれば非常に有利。

点数向上の重要性

経審の点数は、企業が公共事業を受注するための競争力を示す重要な指標です。高い点数を取得することで、入札での有利な立場を確保し、事業の拡大や安定的な受注を実現することができます。逆に、低い点数の場合は受注機会が減少し、事業の継続性に影響を与える可能性があります。

経営事項審査の点数をアップさせるコツ

経営事項審査(経審)の点数を上げることは、公共事業の受注機会を増やし、企業の競争力を高めるために非常に重要です。以下に、経審の点数をアップさせるための具体的なコツを紹介します。

財務健全性の向上

  • 利益の確保:経常利益を安定的に確保することで、経営状況分析(Y点)の向上につながります。経費削減や効率的な経営を心がけましょう。
  • 自己資本比率の向上:自己資本比率を高めるために、内部留保の増加や株主資本の拡充を図ります。これにより、財務の健全性が評価されます。
  • 資産管理の適正化:資産の有効活用と負債の適正管理を行い、バランスシートを健全に保つことが重要です。

技術力の強化

  • 資格取得の推奨:従業員に専門資格の取得を奨励しましょう。資格保有者が増えることで、技術力(Z点)の評価が高まります。
  • 技術者の育成:研修や教育プログラムを実施し、技術者のスキルアップを図ります。高度な技術を持つ人材が多い企業は、技術力の評価が高くなります。

実績の積み上げ

  • 大型案件の受注:過去の実績(W点)を評価するため、大規模プロジェクトに積極的に参入し、成功させることで高い評価を得ることができます。
  • プロジェクト管理の徹底:プロジェクトの品質と納期を厳守し、信頼性を高めることで、実績点数が向上します。

実績の効果的なアピール

  • 実績の記録と報告:完了したプロジェクトの詳細を正確に記録し、報告書を作成して提出することで、評価者に企業の実績を正しくアピールできます。
  • 成功事例の公開:成功したプロジェクトの事例をウェブサイトや広報資料で公開し、企業の実績を広く周知することが有効です。

内部管理体制の整備

  • コンプライアンスの強化:法令遵守と内部統制の徹底を図り、企業の信頼性を高めます。これにより、経営状況の評価が向上します。
  • リスク管理の強化:リスクマネジメント体制を整備し、事業の安定性を確保することで、評価点数の向上につながります。

継続的な経営改善

  • 経営改善計画の策定:定期的に経営改善計画を策定し、実行することで、長期的に経営状況を向上させます。
  • 外部コンサルタントの活用:専門家のアドバイスを受けることで、経営改善の具体策を効果的に実施できます。

経営事項審査の最新情報と動向

最新の法改正と影響

経営事項審査(経審)は、公共事業の入札に関する重要な審査であり、その評価基準や制度は時折見直され、改正されることがあります。以下に、最近の法改正とその影響について説明します。

法改正の背景と概要

近年、公共事業の透明性と公正性を高めるために、経審の評価基準や手続きに関する改正が行われました。これには、企業の持続可能性や環境への取り組みを評価する要素の追加などが含まれます。

具体的な改正内容

環境評価の強化:ISO14001などの環境マネジメントシステムの認証取得が評価点に加算されるようになりました。
企業の社会的責任(CSR):地域社会への貢献や、企業の社会的責任に関する取り組みが新たに評価基準に追加されました。
技術者の育成:技術者の資格取得だけでなく、継続的な教育や研修の実施が評価されるようになりました。

影響と対応策

これらの改正により、企業は以下の点に留意する必要があります。
環境への取り組み強化:環境保護活動やエコフレンドリーな技術の導入を進めることが重要です。

  • CSR活動の推進:地域社会への貢献活動やボランティア活動を積極的に行い、社会的評価を高めることが求められます。
  • 技術者の継続教育:社員のスキルアップを図るための教育プログラムを導入し、技術力を持続的に向上させる必要があります。

業界動向と経審の重要性

経審の評価基準の見直しや改正は、公共事業における競争環境にも影響を与えます。以下に、最近の業界動向と経審の重要性について説明します。

公共事業の動向

  • インフラ整備の拡大:政府のインフラ整備計画が進行中であり、公共事業の受注機会が増加しています。このため、経審の点数を高めることがますます重要となっています。
  • 競争の激化:公共事業への参入企業が増加しており、入札における競争が激化しています。高い経審点数を持つ企業が有利な立場を獲得するため、点数向上の取り組みが不可欠です。

持続可能な発展と経審

持続可能な発展が重視される中で、経審の評価基準も持続可能性に焦点を当てています。企業は、持続可能な事業運営を実現するための戦略を導入することで、経審点数を向上させることが求められます。

  • 再生可能エネルギーの利用:再生可能エネルギーの導入や省エネルギー対策を進めることが評価されます。
  • 環境負荷の低減:環境負荷を低減するための取り組みや技術の導入が、経審の評価ポイントとして加算されます。

今後の展望

今後も経審の評価基準は、時代の変化や社会的ニーズに応じて見直されることが予想されます。企業は最新情報を常に把握し、迅速に対応することが求められます。

  • デジタル化の推進:デジタル技術を活用した効率的な事業運営やプロジェクト管理が評価される可能性があります。
  • グローバル基準の導入:国際的な基準や認証の取得が、経審点数に影響を与える可能性が高まっています。

FAQ(よくある質問)

経営事項審査(経審)について、読者から寄せられるよくある質問をまとめました。これらの質問と回答を参考に、さらに理解を深めていただければと思います。

Q1: 経営事項審査の点数が低いと、どのような影響がありますか?

A1: 経審の点数が低いと、公共事業の入札において不利な立場に立たされる可能性が高くなります。具体的には、入札参加資格を得られなかったり、競争力が低下したりします。特に競争が激しい案件では、低い点数が受注機会の減少につながることがあります。

Q2: 経審の点数を短期間で上げることは可能ですか?

A2: 経審の点数を短期間で大幅に上げることは難しいですが、改善の余地がある項目に集中して取り組むことで、一定の点数向上は可能です。例えば、財務状況の改善や資格取得の推進、過去の実績をしっかりとアピールするなどが効果的です。

Q3: 経審の評価基準はどのように決まりますか?

A3: 経審の評価基準は、国土交通省によって定められており、財務状況、経営規模、技術力、実績などの各要素が詳細に評価されます。評価基準は時折見直され、最新の経済状況や業界動向に応じて調整されることがあります。

Q4: 経審の点数を上げるための資格はどのようなものがありますか?

A4: 経審の点数を上げるために有効な資格には、技術士、施工管理技士、建築士などの建設業関連の資格があります。これらの資格を取得することで、技術力の評価(Z点)が向上します。資格取得の奨励や研修プログラムの導入が効果的です。

Q5: 過去の実績を効果的にアピールする方法はありますか?

A5: 過去の実績を効果的にアピールするためには、以下の方法があります:

  • 詳細な報告書の作成:完了したプロジェクトの詳細を正確に記録し、報告書を作成して提出する。
  • 成功事例の公開:ウェブサイトや広報資料で成功したプロジェクトの事例を公開し、企業の実績を広く周知する。
  • 顧客からの評価・推薦状:顧客からの評価や推薦状を取得し、信頼性をアピールする。

Q6: ISO認証の取得は経審の点数に影響しますか?

A6: はい、ISO認証の取得は経審の点数にプラスの影響を与えます。特にISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得することで、企業の信頼性や環境への取り組みが評価され、点数が向上します。

Q7: 経審の点数を下げないための注意点は何ですか?

A7: 経審の点数を下げないためには、以下の点に注意することが重要です:

  • 財務管理の徹底:適切な財務管理を行い、利益を確保する。
  • 技術者の維持:技術者の流出を防ぎ、継続的な教育・研修を行う。
  • コンプライアンスの遵守:法令遵守を徹底し、違反行為を防ぐ。
  • 継続的な実績の積み上げ:定期的に実績を積み重ね、常に高い評価を維持する。

Q8: 経審の申請手続きはどのように行いますか?

A8: 経審の申請手続きは、主に以下のステップで行います

  • 必要書類の準備:財務諸表や技術者の資格証明書、過去の実績報告書などの必要書類を準備します。
  • 申請書の作成:所定の申請書に必要事項を記入し、必要書類を添付します。
  • 提出:所轄の行政機関に申請書を提出し、審査を受けます。
  • 結果通知:審査結果が通知され、点数が確定します。

まとめ

経営事項審査(経審)の点数は公共入札での競争力に直結します。点数を向上させるためには、財務の健全性、技術力、実績の強化が鍵です。最新の法改正や業界動向に敏感に対応し、持続可能な取り組みを実践することで、入札での有利な立場を確保できます。是非この記事を参考にして、公共入札の受注機会を高めてください。

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